支配と情がまぐわうだけ
眠っている。眉間に皺を寄せる様はもう見慣れたものだった。最初に出会った時からそんな様子だったのだから。
―――朝顔。
その時に聞いたそれが人間の名前であると、尾形には分からなかったけれど。
「センセー」
難しい顔のまま眠る男の眉間に指を乗せる。
人を殺したことのある指。もしかしたら、一生交わることはなかったかもしれない指。
「…おがたさん?」
寝惚けていてもその反応はすぐにある。
「何か、ありましたか」
「なんでもない」
「そうですか」
話なら聞きますからね、と言いながら眠りに戻る伊佐早が、今聞いてくれと言えば起きてくることを尾形は知っている。知っているけれども、未だ理解が出来ないままでいる。
「センセー」
「…なんです」
「なんでもない」
「はい」
どうして自分のことを好きだなんて思うのか、生命の危険のある場所にまでついて来てしまうのか、尾形には理屈は理解出来ても納得はきっとしてやれない。
それでも、出来ることならこの文末にまだ、とつけられたら、と思うのだからそれなりの情は湧いているのだろう、とだけ思った。
*
終息 @ssk_slp
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