私一人ふわり根無し草
胸の辺りがずきずきと痛むのを知っていた。これを世間の人間はなんと呼んでいるか、というのも。馬鹿馬鹿しい、と思っていた訳ではない。ただ、縁はないのだろうと思っていた。セナの中の興味が細分化されてそちらの方へと落ちていくなんて、想像が出来なかったから。
だから、セナは一生、そんな気持ちにはなれないのだと思っていた。
ティーン・エイジャーより前の頃に読んだ本の数々が思い出される。甘酸っぱい、と称されたそれのどれを真似てみてもそんな気持ちにはなれなかった。そのうちに自分自身がそれに興味がないのだと気付いた。そんなことにも実践を伴わないと気付かないほど、セナはだめだった。その自覚はある、少なくとも今は。ああいうものは普通の人間がやるから、そしてああやって箱詰めにするから意味があるのだと、そう思っていたのに。
「私は一人で良かったはずなのに」
台詞を辿る。
「どうして私を見つけたの」
その答えを、男は呉れない。
*
image song「リンネ」ハチ
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