辛いから終わりにしたいときみは言ったけど、きみに選ぶ権利なんてないよ?



 内心の澱みを全部ぜんぶ一つ残らず吐露するなんてそれこそこの矜持の塊そして他人なんて人間じゃないと言わんばかりのこの人にとったら一大事だったんだろう。なら多分私はとてつもない聖者か何かでなくてはいけなかったし、世界的に求められているのはそういう立ちふるまいだったのかもしれない。でも私は私でしかなくて、どうして尾形さんは私なんかに吐き出してしまったんだろうなあ、と思う。それこそアシリパさんとか杉元さんとか、白石さんでも良かったけど、兎に角私よりもそれらしい言葉を選べる人間なんて周りにたくさんいたのに、どうして私を選んでしまったんだろう。
「本当に終わりにしたいの」
疑問符がつかなかったのは怒っていたからじゃない。ただ、私の真剣さが間違った方向へと向いてしまっただけ。
 そう、これは間違っているのだ。
 私もそれは分かっている。
 分かっていないのは尾形さんだけなのだ。
「どうしてそんなことが出来ると思ったの?」
じっと、こちらを見つめてくる瞳に感情変化は見られない。此処で絶望してくれるような人だったら少しは可愛げがあったのかもしれないな、なんて思う。でも尾形さんはそういう人ではないし、だからこそ私は彼のことが好きなのだし。
「私たちは呪いで生きているんだよ」
 手を取るような真似はしなかった。私は許可がない限り尾形さんには触れない。べたべたするのは好きじゃない、それ以上に、彼には領域があると思っているから。それがどう取られても良かった、だってどれだけ好きでも私と尾形さんは別人だ。
「呪いがないと、生きていけないんだよ」
その代わりに私は笑みを纏うことを覚えたのだ。にっこり、たったそれだけ。それがどれだけ嘘くさくても私はそれで、完璧な人間になる。
「だからきっと、尾形さんは幸せだね」
 意味が分からない、と吐き捨てた尾形さんは多分、本当は私の言いたいことなんて全部分かっているのだ。








@utislove


















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