夜明けまではまだ時間があるよ



 あの関係が外から見たらどれほど歪んだものだったのか、当事者である僕に分かることは多分一生ないのだろう。きっとどんな結論を出してもそれは当事者であるという建前に邪魔をされて、他人に真っ直ぐ届くことはないし、そもそも届けるべきものでもない。だから僕は口を噤むし、これ以上考えることも無駄だと思っている。
 とっくの昔に解えの出た話。
 それこそ、もしも天変地異が起こって僕と尾形さんが何かあって、それで尾形さんが何か聞いてくるとかでもならない限り、言葉にすることはないのだろう。
―――順玲。
未だ、呼ぶ声。それは幻だと知っているのに。ふと振り返る瞬間に、貴方が、朝顔が其処にいるような気がしてしまう。抜け出せない、幸福の残滓。それを幸福と呼ぶべきかは論争になりそうだとすら思うけれど。
 本当に、本当に心から愛していたよ。
 それだけが伝わっていなかったような気がして、僕は今でも後悔しているなんて言ったら貴方は笑うかな。



あの時に君に言うべき言葉だけ、寒天の中で固まっている / 坂口青梅


















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