3
「とりあえず、これからどうするのか話しましょう」
まずは必要な情報を与えねば、と私は軽く息を吐いた。
悪人と正義の味方
「貴方は昨夜、ここへ来ました」
「昨夜、」
考え込むように繰り返す彼に、慌てて制止を掛ける。今すぐ思い出そうとされてはたまらない。ついさっき、彼を護ると決めたばかりなのに。
「すみません、今は聞くだけにしておいてください。思い出すのは、時間を掛けて…」
「ああ、そうでしたね、すみません」
謝ることではないんだけどな、と小さな罪悪感を感じる。思い出すな、なんて私のエゴだ。
「深くは聞かないで欲しいのですが、成り行きで貴方はここに居候することになりまして」
ランスさんの表情が面白いように崩れた。ハァ? そう思っているのが丸分かり。記憶のある彼は、こんな表情を臆面もなく出しただろうか? …否。彼がそんなことをするはずがない。何も分かっていないとしても、それくらいは分かる。
「あ、の…」
しばらくして、聞きづらそうに彼が顔を上げる。
「何でしょう?」
「同居を許したということは…貴方と私は、恋人か何か、なのですか」
「はい?」
思わず、上ずった声が出た。元ロケット団幹部である彼と、所謂正義の味方≠ネ私が、恋人。ないない、それはない。
「違いますよ」
「では…何故…」
そこでやっと気付いた。普通は恋人でもない男を、泊めたりはしない。
「ええと、あー…緊急事態、だったからでしょうか」
明確な答えが見付からなかった。けれど、私の部屋になだれ込んだ彼を見て、放り出す気にはならなかった。ただ、それだけ。
「安心してください」
私はランスさんを見据える。
「貴方の記憶が戻るまでは、私が絶対に貴方を護ります」
まるで、本当に正義の味方か何かのように。
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