頭の中で声がする。私は目を開けた(いつ目を閉じたのかは分からないが)。
「………どこだここ」
果てしなくクリーム色の空間を、私はふいよふいよと浮いていた。何だ、夢か。そう思いながら再び目を閉じようとすると、今度は声がはっきり聞こえた。
―――違う世界へ、連れて行ってやろう。
 普段から夢小説のサイトを巡っていたのが、夢にまで影響を及ぼしたようだ。異世界トリップとか王道を持ってくる辺りが私の頭らしい。
 望みはないか、と声が問いかけてくる。ああ、あれか、主人公補正ってやつか。ここまで忠実に再現するとは、私の頭はなかなかに末期らしい。…さて、何を願おうか。
「好かれなくて良いから、嫌われないように、して」
口を継いで、言葉が漏れた。
―――もっと、美人になりたいとか、愛される補正とか、超人的な運動神経とか、人外生物と話が出来るとか。そう言った設定じゃなくて良いのか?
 私は考える。
 そりゃあ美人になれれば嬉しいけれど、鏡を見た時に落ち着かない顔、というのは嫌だ。愛されるよりも、嫌われない方が何かと得な気がするし、超人的運動神経はおそらく宝の持ち腐れになる。あとは、人外生物と会話って、使い処がない、多分。
「うん、良い」
―――では、夢の世界へ。
 やっぱり夢か。そう思いながら、私は落下していった。

 眩しい。そう思って目を開ける。
「…どこだここ…」
本日二度目の台詞。現実世界での記憶は家で途切れているから、ここはまだ夢だと言うことになる。さっきのは夢中夢か、面倒だな。
 私は起き上がって辺りを見回した。建物の中のようだ…とても人が住んでいるようには思えないが。眩しさの正体はテレビだったらしい。暗い部屋の中で唯一、強烈な光を放っている。
 私は首を傾げた。どこかで見たことのあるような…? しげしげとテレビを見つめてみる。画面には何が映っている訳でもなく、ただ光っているだけ。流石に直視すると目が痛いかもしれない。そんな風に思って、瞬きをした瞬間。
 にゅっ。
「ひゃあぁあああぁあぁぁッ!?」
めこっ。
 反射的に手が出た。叫び声はオプション。
「え、何? オレンジ? 幽霊? オバケ?」
私の目が可笑しくなっていなければ、テレビから何か出てきた。こんなに人気のない所だから、幽霊が出るのも頷けるけれど…って頷いたら駄目だ。私は恐る恐る何かが落ちた方に目をやる。
「………え?」
そこに落ちていたのは見慣れた生き物。
「…ロトム…?」
 ちょっと、もう私、混乱しても良いですか。


















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