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一度眠って、起きる。流石に自分より年下の少女がいてベッドを占拠する、というようなことは僕だってしなかった。此処で良いですよ、と階段下の空間を指したら少々引かれたような気がするが。何処で寝たって同じだろう、と言われてきた身からすると新鮮な反応ではあった。僕は今でもホルマリンと添い寝するのは御免被りたい。
思い切り伸びをする。なんだか妙な気分だった。眠りは浅いものだったし、数人は起きたまま屋敷の探索をすると言っていたから物音は絶えなかった。なのに、何故かよく眠れた気がするのだ。どうしてだろう、と首を傾げる。そんなに僕は疲れていたのだろうか。
「よく眠れたか」
そんな思考を遮るように、尾形さんが顔を出した。多分、預けたものを取りに来たのだろう。
「はい。おかげさまで」
「だろうな」
おかげさまで、というのは半分嫌味だったのに、何故尾形さんはこんなにも当たり前のように受け答えするのだろう。嫌味が分からないひとではないだろうに。よく分からない。
そんなふうに思いながら、僕は尾形さんに銃を返す。いや、別に借りていた訳ではなく、尾形さんが寝るなら横に置いておけ、と言っただけのもので押し付けられたと言っても差し支えのないものだったが。
「尾形さんは、銃を手放さないのだと思っていました」
素直に感想を言う。別に、銃を持っていない尾形さんだってそれなりに見ていたはずだけれど。
―――人、を。
殺すところを見てしまったからだろうか。今まで死んだところはたくさん見てきたはずだけれど、確かに振り返ってみれば殺すところは見たことがなかった。だから、なのだろうか。あの瞬間が、僕の中にもう、灼き付いて離れないのか。
「…別に、持っていなければ死ぬという訳じゃあない」
「分かっていますよ。冗談です」
「でも、まあ、持っていた方がしっくり来る、というのはある」
「そうですか」
そういうものか、と思って返すと、尾形さんはじっと此方を見てきた。何だろう。寝癖があるとかだろうか。こんなところで座って眠っていたのに、寝癖なんて出来るのか謎だったけれど。
頷かれる。人が目の前にいるのに勝手に話を進めないで欲しい。
「眉間に皺が寄っていない方が良い」
「うん? そうですね?」
話しかけるのならば会話をしようという努力をして欲しい、と思うのは高望みなのだろうか。
「…ええと、何か見つかりました?」
「特には。炭鉱の方へ様子見に行く方と人を分けることになると思う」
「そうですか」
何にせよ、これから動かなくてはいけないのだから、どうでも良い思考は振り払うことにした。
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