君の軌跡
彩月ちゃんの部屋入ってもいーい? と聞いて、別に考えた様子もなくいいよ、と返されたのは脈がないと思うべきなのだろうか。そろそろもうお互い、というか年齢については成宮がずっと後追いでしかないのではあるけれど、いろいろ、意識して欲しいと思うのはワガママだろうか。昔は一緒にお風呂に入っていた、とかもないし着替えを覗いたこともないので、今更? ということもないのだし。まだ子供と思われているのでは…という思考をいやいやいや、と振り払っていると、その辺積まれてるから気を付けて、と言われた。
何積んでんの、と見遣る。
山。
だった。
「えっ何この山」
「高校野球関連のあれこれ」
「…ニュース全部録ってんの」
「私がやってるんじゃないけどね。お母さんに頼んでる」
「あー…彩月ちゃん家空けること多いもんね」
「うん」
いや、それで片付けて良い話だっただろうか。成宮が少し考えたのを違うように取ったのか、そっちの山は、と田面が説明を付け足す。
「雑誌とか新聞とかの切り抜き」
これはそれでも私がやってる、と言われてしまってくらっとこない男がいるだろうか。いや、いまい。これはこの間授業で習った。反語というやつだ。これでもちゃんと勉強もしているのである。将来的に野球の道に進む以外のことは考えていないけれど、野球だけしか出来なかったから野球の道を選んだのだとは言われたくなかったから。
「全部見てるの」
「うん」
「彩月ちゃんって野球興味ないんじゃなかったっけ」
なのに、なんで? と首を傾げてくる成宮に田面は笑う。
「そりゃあ、だって。鳴くんのことだもの」
知りたいと思うよ、と言われてしまえばもう、次も頑張るから! と宣言するしかないのだ。
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