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 どんな会話をしたあとでも朝は来る。朝日が昇るより先に尾形さんは起き出して、僕もそれで目が覚めた。
「尾形さん」
小さな声で呼ぶ。いってらっしゃいとでも言おうと思って。
 なのに。
「センセーも来るか?」
思いもよらない言葉が返ってきたから。
「…行って大丈夫なんですか」
昨日の会話からして、あの鳥を撃ち落としに行くのだろう。尾形さんにはそれが出来るという自信がある。馬鹿にされた訳ではないけれども無理だと言われたからと言ってハイそうですか、と引き下がるようなひとではないことは僕だって分かっている。
 だからこそ、聞いたのだ。僕は狩猟に慣れている訳でもないから、尾形さんの邪魔になったりはしないだろうか。そんなことを思って。でも、尾形さんはどうしてそんなことを聞くのか、と言ったような顔をした。
「センセーは知っているだろう」
そして、それが何に対しての言葉なのか分かってしまった。
 どうして、なのだろう。
 そんなことを思う。僕は何も言っていないし、尾形さんだって僕に興味がある訳ではないだろうに。胸の内で塗りつぶした部分がざわめいた気がして、落ち着かない。
 それでも、黙っている訳にはいかないから。
「………はい」
僕は肯定した。嘘を吐く必要はなかった。
 僕は、尾形さんの先生なのだから。
「なら大丈夫だ。知っている通りにしてくれれば良い」
「分かりました」
―――本当に。
起き上がって髪や服を整えながらそんなふうに思う。
―――本当に、知っている通りで良いのだろうか。
 でも、そんな思考はそのまま踏み出した足に置いていかれた。

 空気が冷たい。風も吹いている。
 でも、僕は此処にいない。
 尾形さんが一瞬だけ横目で此方を見遣って、それだけが世界の証明だった。
 息は殺す必要はない。
 鳥、が。
 自由に、羽撃いて。

 銃声が、した。
 尾形さんが宣言通り、あの蛇行して飛ぶ鳥を撃ち落としていく音。隣で聞く銃声は腹の底から揺すぶっていくようなもので、それでも僕は何も言わなかった。
 尾形さんの腕は見事なものだった。あの鳥を、きれいに四羽撃ち落とした。
「尾形さんは、」
今だろうな、と思って問う。
「どうして、そんなに銃が上手いんですか」
「………昔、」
 ぽつん。
 落ちた言葉。
 尾形さんは僕の方を向かない。
「母親に、鳥の鍋を作ってもらいたかったから、だろうな」
「…そうですか」
その微妙な差異を僕は間違えずに受け取った、のだと思う。
 尾形さんはそれ以上は何も言わずに立ち上がった。
「きっと皆さん驚くでしょうね」
「どうだかな」
「美味しいって言ってましたし、食べられるものは多い方が良いでしょう」
「…それもそうか」


















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