心中願い
首に触れるのが好きなのは、それが人間の急所足り得るからなのだろうか。それを聞いたことはない。どうせ抱きもしない男に、好きだと言葉にすらしない男に、出来ない男に、押し付けてやるものなど一つもないのだ。
「―――久我原、」
「こういう、ときくらい、」
息が、薄くなっていく。
「なまえ、で、よんで、よ」
「…八雲」
「くそや、ろう」
「お前もそういうことを言うのか」
「くび、しめとい、て…」
「苦しいか」
「った、り、まえ…」
意識が、白く、なりかけて。
ふっと、解放された。肺が急に動いて身体が跳ねる。
「…久我原、」
「なまえ」
「………八雲」
「なに、ひゃくのすけ」
「気持ち悪い」
「最低だな」
「正直に言っただけだ」
まあ、確かに気持ち悪いには気持ち悪いのだから、これ以上追求はしないけれど。
「苦しいか」
「当たり前」
「もうしない」
「そうして」
ひくり、と笑みが出て行く。勝手に、出て行く。
貴方に殺されるというのなら本望、と。
そんなこと、まだ言ってはやらないのだ。
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