シリアルキラーの憂鬱
可哀想な捜査官。そう言ってしまうのは簡単だろう。とあるシリアルキラーに目を付けられて、妻を殺されて自身も心に傷を負った。残された息子と二人三脚。可哀想、可哀想、可哀想。簡単だ。とても簡単。
「だから私は言わないの」
そう笑う私に銃口を向けながらホッチナー捜査官はその厳しい表情を崩さない。
分かる。大先輩がどうしてこの男に目を付けたのか。この鉄面皮を変えてみたい。この手でぐちゃぐちゃにしてみたい。私の所為で狂って欲しい。私のことしか考えないで欲しい。寝ても覚めても私のことでいっぱいになって欲しい。
まるで恋をしたみたいな感情。事実恋なのかもしれない。けれども恋だったら多分、他の誰かに上塗りされてしまうから。それなら、変わらない殺意で。
「ねえ、ホッチナー捜査官。私を殺して見せてよ」
飛び降りた先で、走る私を銃弾が掠めていった。心が躍る、まるで生きてるみたい。
「好きよ! ホッチナー捜査官!!」
だから私を殺して。
地獄の先まで堕ちてきて。
*
神威
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