彼女の喚く声を耳に僕は眠りにつける



 シャーロット・ポップルウェルのことをスペンサー・リードが忘れることは正直、難しいことだと分かっていた。そもそもスペンサーの脳はとてもよく出来ているので一度見聞きしたことを忘れるなんて芸当の方が難しい。勿論忘れたことだって存在しているだろうけれど、その割合は普通の人間よりかはずっと低いと自負している。だからこそ、シャーロット・ポップルウェルについて忘れることが出来ないだろう、と思うのだった。それに、そうでなくとも衝撃的なショッキングな記憶は、なかなか忘れることの出来ないものなのだ。
「私が怖い?」
彼女は最後、笑っていた。とても美しい顔で。貴方のことが好きなの、だからこんなことをしたの。彼女は普通の人間だったはずだった、とても美しくて公式のような人、だからスペンサーだって心を許して、それで、それで。
 なのに、彼女は殺人を犯した。事件を起こした。シリアルキラーとなって、スペンサーの前に現れた。眠る前、彼女が射殺される前に言っていたことが蘇ってくる。それにスペンサーは一つひとつ答えていく。羊を数えるように、彼女の声で眠りにつく。
―――怖くない、
彼女が笑う。

 こわくないよ。



バルキュリアの囁き @blwisper


















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