文明の利器は鋏と同じ



 「う、ぁ…ッ」
じりじりともどかしい快感に苛まれているであろう様を見ていると、心が踊るのがわかった。
「鳥吉、さん…ッ」
「なんです?」
わざとらしく首を傾げる。
「何、じゃない…です、よ…さっきの紅茶、何をいれたんです…」
「睡眠薬を少々とそうですね、催淫剤と言った方が原澤さんには分かりやすいでしょうか」
にっこりと笑って見せた。その笑顔を見て原澤は盛大に顔を歪める。やっぱりか、そう書いてあるようだ。しかし、もう薬は効いているのだ。原澤の両手は後ろで縛られていて、更にそれはベッドのパイプに括りつけられている。抵抗どころか思うように動くことすらままならない。
「まぁ、痛くはしませんから」
そう優しく言うと同時に、ふと携帯が目に入った。原澤のそれ少しいじると、座り込む形になっている彼の太腿に置く。
「…鳥吉さ、ん?」
「すぐ気持良くなりますから」
そうして自分の携帯を取り出すと、呼び出したのは原澤の番号。
「ひ、ぁ」
数秒して振動し始めた携帯が、ぶぶぶ、と太腿を刺激する。
「原澤さん、出てくれないんですか?」
出ないも何も、と言った視線が突き刺さるが、真っ赤に蕩けたその目では、加虐心をそそるだけだ。舌なめずり。びくびくと上下する膝の所為で、携帯の位置は動いていく。そう、まるで、
「太腿じゃご不満ですか?」
その先へと落としたいかのように。
「それならそうと言ってくれたら良いのに」
もう少しで触れようとしていた携帯を取り上げ、一度切ってもう一度かけ直す。そうして今度はそれを、太腿の、恐らく触れて欲しいであろう所ギリギリに触れさせる。
「ん、あ、いや、です…鳥吉さん…ッ」
ぞくそくと背筋を電流が廻るような感覚。
「も、もう…ッ」
「原澤さん?」
可愛い、かわいい、かわいくてたまらない。満面の笑みでそれを見下ろして、
「おねだりくらい、ちゃんと出来ますよね?」
 あとは、次の言葉で完全に堕ちるのを待つだけだ。



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