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身体を拭いて濡れた衣服を部屋に干して。僕が読み物をしている間に尾形さんは銃の手入れをしていたようだった。僕は自分の時間に他人が何をしていようが気にならない人間であったし、それは恐らく尾形さんだってそうだろう。部屋に入る時にあの辺はいじらないでくださいね、と言ったくらいだ。尾形さんだっていい大人だ、注意しておけばいたずらに触れることはしないだろう。何なのかとは聞かれたのでドイツの論文だと伝えたら興味もなくなったようだった。
そうして寝よう、という頃。
「え、尾形さんそれ抱いて寝るつもりですか」
「抱いては寝ない。手の届くところに置いておきたいだけだ」
部屋の主であるからと僕は自分の布団、尾形さんには座布団を繋げただけの即席布団だ。とは言っても他の先生方から貰ったそこそこ良い座布団であるはずなので布団でないからと文句を言われる筋合いはない。
いや、その話ではない。尾形さんはその即席布団の横にも銃を持ってきており、流石に驚いた僕が聞いたのだった。手の届くところ、と言おうとしてそういえば尾形さんは此処へは護衛という形で来ているのだと思い出す。僕はそれが設定だと思っているし、そもそも本当に護衛だと言うのであれば一緒に担当した八雲の方が女性であるし、なのに一人部屋を貰って生活をしているしで危ないことこの上ないような気がするのだが。こうして僕について回ることはしなくて良いはずだ。いや、今日僕の部屋に泊まることになったのは須子先生の所為だけれど。うん、須子先生は掴みどころがないが八雲のことは可愛がっているし、未婚の女性の元に男を泊めようというのはあまり良くないとは思うのでこれで良いには良いのだが。
「そういえば、尾形さんは銃、得意なんですか」
ふと、聞いたことがなかったと思い出す。
「ああ」
即答だった。それくらいに自信があるのだろう。聞いたは良いものの僕は銃やら何やらに詳しい訳でもなく、それ以上会話は続かなかった。
「では、おやすみなさい」
ランプの灯を消すと、僕は一、二、三と数えて眠りに落ちた。
身体の中の時計の錘が上がっていくような心地で目が覚める。いつもの時間。目を開ける前に昨日は嵐だったので尾形さんを部屋に泊めたことを思い出す。思い出して、よし、と思って目を開けて―――目が合った。
「…寝てないんですか」
「いや、寝た」
へえ、そうですか、と言って僕が身体を起こすと尾形さんも身体を起こした。
「早く目が覚めただけだ」
僕はそれ以上追求せず、尾形さんはただ、アンタ、やっぱり眉間にシワ寄せて眠るんだな、とだけ言った。
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