こころ



 「お人形になるには、どうしたら良いんだろうね」
ある午後のお茶の時間、白水はポツリと呟いた。
「…お人形になりたいのですか? 白水は」
翠星石はかたり、とティーカップを置いた。
「そうしたら、翠星石とずっと一緒にいられるよ」
突き刺さるというにはその言葉に鋭利さは足りなく、包み込むというには冷たすぎるような気がした。
「どうして僕は人間なんだろうね」
その言葉に返すことなど出来ない。もしも白水が自分と同じお人形だったのなら。それは幾度と無くした夢想。でもそれは、言葉にしてはいけない。
 白水の手が翠星石に伸びる。白くて奇麗な手。同じ年頃の男の子たちよりも繊細で、優しい彼を表すかのようなその手。細いわりに力のあるそれが翠星石を抱き上げ、すとんと膝に落とす。
「あったかいよ、翠星石」
「知ってるですよ」
「…あったかいんだよ」
ぎゅう、と締め付けられたような気分だった。
 お人形にだってこころはあるのですよ。お前をこんなにもすきだと、叫ぶこころが。
 あまりに苦しくて、それは言葉にならなくて。
「………」
翠星石も白水に手を伸ばして、同じように抱きしめることしかできなかった。
―――あったかい。
 それはきっと、こころの温度。




あまりにかなしい、そのおんど。



















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