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 「何をやらかしたんだ」
「人聞きの悪い!」
挨拶も終わったので院長室を出ると、まず尾形さんはそう言った。ので僕は訴える。
「そんな、尾形さん。僕が何かやらかすような人間に見えます?」
答えはない。尾形さんの前でそこまで僕は問題行動を見せたことはないと思うのだが、腑に落ちない。そもそも虚児院長が僕に対してああするのは以前会った時の行動が原因―――原因と言うと悪いことでもしたような気になるが、言い様がないのでまあ原因―――なのである。そして僕はその時と同じ行動をまだ尾形さんの前ではやっていない。そもそもなかなかやれるようなものではないし、やらない方が良いものではあるのだ。事が起こらなければ僕だって大人しくしている。はずだ。うん。
「昔お世話になったことがあるだけですよ」
本当だった。本当にお世話になっただけ、いや虚児院長は見てただけ、とも言えるけれど。彼は何もしていないと言ったらしていないのだ。あとで口添えというか苦笑いの末何か言ってもらったそうだけれど、これに関しては僕は与り知らないところで行われたので詳しくは知らないのだ。これにも答えはない。
「………面白い顔してますね」
別に尾形さんの表情は変わって見えなかったけれど、まあそんな感じがしたので言ってみた。
 それで尾形さんはやっと言葉を発することにしたらしい。
「アンタが嘘を吐いてるのか、それともアンタが人に迷惑を掛けてそれをそうと思っていないのか、考えていた」
だから黙っていた、と。
「ええー」
「どちらかしかないだろう」
「二択とは面白みがないですねえ」
「どっちなんだ」
「これが嘘を吐いているように見えます?」
「じゃあ後者か」
「もうちょっと考えてから言ってもらっても良いですか?」
「充分だろう」
この話は終わりだと言わんばかりに尾形さんが戻るんだろう、と言うので、帰りに買い出しをしていきたいと言ったら却下された。


















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