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尾形さんは流石兵隊さんだけあってチンピラをものともしなかった。全然まったく容赦はなかったがそれをちゃんと見ていたのは僕だけだし、その僕はもっとひどい図を病院で見たことがある訳だしで止める者は誰もいなかった。生きてはいるし。
結局見張りはその一人だけで人質一行は外まで何事もなく出ることが出来た。途中銃声が聞こえたので出るのを裏口に変更したくらいで問題は特になかった。
あったのは、その後である。
僕たちのいた建物が爆発したのだ。
「ええ…」
「うわ」
暫く呆然としていたが、僕ははっと気付く。
「尾形さん」
「見捨てろ」
取り付く島もない。
「…まだ、何も言っていません」
「昏倒はさせなかった。自力で動けるはずだ。それでも出て来ないということはそいうことだ。諦めろ」
簡潔である。
その通りだ。その通りで、あるべきだ。僕は医者であってこういった危ない場所に出向いていくことの出来る兵隊ではない。不必要な行動は二次災害を引き起こす。
「あのチンピラはアンタを人質に取ってたんだぞ」
「そうですね」
それでも僕は言葉を用意していた。
「でも、尾形さん言ったでしょう」
息を吸う。
「僕の分残してくれるって」
その言葉に、尾形さんははあ、とため息を吐いた。この上なくわかりやすい合図だった。
「変人だな」
「よく言われます」
「嘘を言え」
嘘ではないのだけれども。
「無理だと判断したらすぐに撤収するからな」
「はい」
そうして僕たちは崩れかかった建物へと再び足を踏み入れた。
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