18



 見張りの男は意外と入ってすぐの場所にいた。
 それは良かったのだがそれでどうして出て来ないのかという理由の方がおおごとだった。
「無理だろう」
尾形さんは素っ気ない。そりゃあそうも言いたくなるだろう。
 男の足は落ちてきた瓦礫に押しつぶされていた。抜こうにも瓦礫が重すぎてどうにもなりそうにない。一体この建物は何で作ってあったのか。瓦礫なのか何なのか最早よく分からないが、今考えるべきは男が動けないでいるということだろう。
「無理じゃあ、ない、ですよ」
僕は急いでその辺りを回ってものを集めてくる。少し足りないがまあ、なんとかなるだろう。先程の爆発音できっと人は集まっている。さっさとやってさっさと運べばどうにかなる。幸い、僕は正しい処置をしている訳だし。同じようなことをやったことだってある。勿論それはこんな場所でのことではなかったのだけれど。
 ぎゅ、ぎゅ、と足を縛っていく僕に男は動揺したのか泣き出した。ええい、五月蝿い。
「助かりたいのか! 助かりたくないのか!!」
僕の剣幕に圧されたのか男はこくこくこくと頷く。
「助かりたいと取りますよ」
「助かりたいです!!」
「何をしてでも?」
「何をしてでも!!」
誘導尋問だった。何をしてでも助かりたいと言ったと、言わせておいた方が後々良いに決まっている。
「尾形さん」
僕は僕の後ろで僕の行動を観察していた尾形さんを呼ぶ。
「銃剣、貸してもらえますか」
それで尾形さんには分かったらしい。
「アンタ、斬ったことなんてあんのか」
「銃剣では、ないです。でもマッチあったのでいけます」
 尾形さんの手が伸びてくる。マッチをさらっていく。
「尾形さん!」
「…俺がやる」
「ッ、でも、」
「俺の方が使い慣れてる」
それはその通りだ。
「一刻も早い方が良いんだろう。此処で駄々をこねている場合か?」
「………お願いします」
 尾形さんが火で炙った銃剣を男の足に当てる。その頃には思考の追い付いてきた男が恐怖に目を瞑って耐えている。
「行くぞ」
「はい」
次の瞬間、断末魔のような声が上がって、僕は自分に出来る最速で処置をしたのだった。


















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