一通りの会話を終えると一護はウルキオラに向き直った。先程の雰囲気を引きずる事無く、むしろピリピリとした雰囲気を纏っている。

「…待たせたなウルキオラ。いくぜ、これがてめぇの見たがってた…虚化だ」

顔の前に手を置き、それを一気に下に下ろす。雄叫びを上げるかのように、虚化をした一護が現れた。
それをただ冷静に見つめると、ウルキオラは静かに視線を萌苗へと移した。

「萌苗」

ただ名前を呼ばれただけなのに、萌苗は静かに頷くと、音を立てずに素早くこの場から姿を消した。
萌苗が居なくなったのを確認すると、ウルキオラはまた一護へと視線を戻す。それを合図にするかの様に、一護はウルキオラに向かい素早く月牙を込めた剣を振る。が、あっさりと受け取められてしまう。
しかし、受け止めた剣はヒビが入り、それを見過ごす事無く折れてしまう前にウルキオラは剣を引き、身体を翻して一護の攻撃をやり過ごした。そのまま二人は、先の攻防で開いた壁の穴から外へ出る。外に出てすぐ攻撃を仕掛けたのはウルキオラで、今までのどの虚閃よりも威力のあるそれを、一護に向かって放った。虚閃の範囲内に見事入ってしまい、命は無いかと思われていた一護だったが、自分の霊圧を最大限に生かしたのだろう。虚閃を受けても無傷だった。
それを見かねたウルキオラは、更に一護に攻撃を仕掛ける…かと思いきや追い越していき、速度を上げて上へと登っていった。

「!待て!!くそ…ッ、どこまで行く気だ……!!」

一護が声を掛けても反応せず、速度も変える事無くウルキオラは上へと登っていく。
暫くすると青空が迫る感覚を感じたと同時に、厚い壁を突き破る衝撃が空気を伝い身体に伝わった。驚く事も無く辺りを見回すと、三日月以外は何も無い暗闇が広がっていた。

「ここは――虚夜宮の天蓋の上……?」
「そうだ。第四十刃以上の十刃は―――"天蓋の下での解放"を禁じられている」

自分よりも遥かに高い位置から、ウルキオラの声が響いた。視線を上げると、そこには一護を見下ろすウルキオラと…、ウルキオラの居る柱より少し低い位置にある柱に、部屋から消えた萌苗の姿があった。

( 萌苗…!)
「虚夜宮の天蓋の下で、禁じられているものが二つある。一つは十刃の為に存在する虚閃"王虚の閃光"。そしてもう一つが、第四以上の十刃の解放――。どちらも強大過ぎて虚夜宮そのものを破壊しかねないからだ」

ウルキオラの言葉に静かに耳を傾ける一護に視線を合わせたまま、月を背にウルキオラは降ろしていた剣をゆっくりと持ち上げた。

「――――鎖せ」

黒翼大魔 ムルシエラゴ




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