「なん…だって…?なんで……」
「…なんで?分からないの?本当に?」

再度嘲笑うような笑みを見せグッと距離を縮めると、胸倉を掴んだ反動で一護の顔を寄せさせた。
一連の行動に凄んだ一護の足は、無意識に一歩後退している。

「教えてあげる。萌苗はね、もう嫌になったんだって。この世界も、アンタの事も、何もかも。だから"アタシ"と変わった…。それだけよ」
「なっ…!」
「原因は…、…アンタなら言わなくても分かるでしょ?」

そう静かに諭すと、胸倉を掴んでいた手を静かに離す。強く突き放された訳でもないのに一護は少しだけよろけ、萌苗を見る。その顔は、悲しみを帯びているような気がした。
しかし、萌苗はそんな事を気にするも事なく、むしろ面白いものを見るような表情で一護との距離を放し、一護に向かってゆっくりと剣を翳した。

「じゃあ、第2ラウンド始めよっか。…"アタシ"の力、見せてあげる」

そう静かに言い残すと、一瞬にして萌苗の姿が視界から消えた。何処にいるのかと一護が探るより前に萌苗は右斜め後ろに現れ、いつの間にか抜いていた剣を首元に振りかざしていた。
気配を消したうえに、普段の萌苗よりも…下手したらウルキオラよりも速いかも知れない速度で振り下ろされた攻撃に紙一重で気付いた一護は、上半身を剣が触れるギリギリの所で曲げた事によって回避出来た。

「流石、やるじゃない」

傷も体力も回復させてないのにね。
にこにこと笑いながら萌苗は素早く距離を取ると、静かに剣を構えた。

「アタシの能力知ってる?」
「…」
「アンタ一回見た事あるでしょ。
アンタの持ってる技と同じ技を贈ってあげた時の顔!あの子越しに見てたけど、すっごく面白かったわぁ」

ケタケタと嗤う萌苗に、一護は何も言わず眉を潜めるだけ。そんな一護の様子も気にする事なく、萌苗は話しを続ける。

「アタシの能力は、他人の能力をコピーして使える事。一度見たものは余程の事がない限りは完璧に使いこなす事が出来るの」

「だから、ね?」と言いながら萌苗は剣をゆっくりと振り上げる。剣からは黒い霊圧が纏わり付き始め、剣の全てを覆い尽くそうとしている。
それが自分の技に酷似していると気付いた時には遅く、普段一護が放つ量よりも大きくなっていた。




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