そのまま一護はギンに斬りかかった。だが、ギンはそれを難なく自身の剣で受け止める。それに合わせるように藍染が振り向こうとすると、故意に発生させた霊圧の壁に阻まれ、二人の姿がその眼に映る事は無かった。
代わりに横から別の霊圧を感じ左に眼を向ければ、一心が自身に向かい剣を振っている姿が。
不意を突こうとしたのだろうが藍染には効かず、むしろ微笑を零す余裕を携え、ギン同様一心の剣を難なく受け止める。
だが、それすらも一心の計算の内。剣を交えている間、一心は左手の中指だけを折るという不思議な動きを見せた。不信に思う間もなく中指を弾く動作を見せると、触れられていない藍染の身体が軽々と吹き飛び、ビルを二棟破壊した。
そして藍染がビルの屋上に着地するや否や、一心の刃が藍染に振りかざされる。

「ふんっ!!!」

間一髪で避けた後のビルは人一人が破壊するには大きすぎる力で、木っ端微塵に破壊された。
すぐに一心は藍染が避けた方向に刃を振るうが、それも避けた藍染は、一心の横腹に素早く手を翳した。

「“雷吼砲”」

その一言と共に、周囲に大きな衝撃波が走る。
広範囲に広がる攻撃は、一心をいとも容易く呑み込んだかと思われたが難なく避け、避けた勢いを生かしたまま、藍染に攻撃を仕掛けた。
少し反応が遅れながらも、一心の攻撃を避ける藍染の背後から、入れ替わるように萌苗が剣を振り翳す。
萌苗の何も映さない表情に、彼女の身体に一心の眉が微かに歪んだが、すぐに余裕の笑みが張り付いた。

(感情か思考が取られたか…?)
「おっと、此処は萌苗ちゃんが入って来て良い場所じゃない……ぜ!!!」

剣を避けると片手で萌苗の腕を握り、そのまま力一杯投げつける。まるで人形のように、力無く飛ばされ建物にぶつかり崩れ落ちる萌苗を横目に見ながら、藍染は他人事に言葉を紡ぐ。

「良いのか?今の萌苗は破面の姿をしているが、治癒能力は持ち合わせていない。下手をすれば彼女は即死だ。もし彼女を救いと思うなら、もっと丁寧に扱う事を勧めるよ」
「てめえ…!」

藍染の言葉に、一心は少しばかりの怒りを感じながら再び剣を振るい始めた。
休む暇さえ与えないと言わんばかりの速さで連続して穿つが、ギリギリの所でかわされてしまう。
だが、体勢を変えて胴を目掛け剣を振るえば藍染はかわす事なくそれを受け止めると力の押し合いになり、最終的には一心が勝ち藍染を後退させた。
初期の頃よりも反応が遅くなっている藍染に訝しんだ一心は、思ったままを言葉に乗せて空間を小さく震わせる。

「どうしたよ、動きがニブくなってんじゃねぇか。もう限界か?」
「…ああ、どうやらそうらしい。限界が訪れたのだ、死神としての私に」
「…何?」
「魂が、組み換わる」
「…何を言ってんだ?」
「漸く崩玉の意志が、私の心を理解し始めた様だ」
「寝言か?」
「…解らないのか」

「崩玉は、意志を持っていると言っているのだ」





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