「…萌苗、いつまで寝ているんだ。起きなさい」
凜とした藍染の声に導かれるように、気絶していた萌苗の眼がぱちりと開かれる。
その眼に映ったのは、藍染によって倒された一心、浦原、夜一が力無く地面や建物に伏せている姿と、少なくとも恐怖に顔を染めながら立っている一護。そして顔全体を白く覆いながらも、その顔に罅が入っている藍染らしき人物の姿だった。
藍染は萌苗が立ち上がるのを確認すると、踵を返し、静かに市丸に指示を出す。
「穿界門を開け。尸魂界の空座町へ侵攻する」
「!!」
「転界結柱を破壊する必要も無い。王宮を落とすなら、尸魂界で王鍵を創る方が好都合だ」
「はい」
「ま…待て…!!」
止めなければ。
しかし、藍染に初回の一撃を放ったあの頃の勢いは、藍染の霊圧の強さと負傷した三人の姿を目の当たりにしたら無くなってしまった。
そんな中途半端な勢いのままに制止の言葉を放つ一護を余所に、 藍染の顔を覆っていた白い物がボロボロと崩れ落ちはじめる。
「!」
「…藍染隊長」
「…ああ。…どうやら、蛹籃の時は終わったようだ。有り難い」
「尸魂界の終焉を、私自身の眼で見ることができる」
全てが崩れ落ちて出てきたのは、髪が伸び、白眼の部分が黒く染まった藍染の顔。
静かなる狂気の色を含ませ放った言葉は、別部分からの狂気を察知させ、いとも簡単に一護に絶望の色を与えその場に動けなくさせた。
その間にも、市丸によって出現した穿界門の扉が開いていき、三人は扉の向こうへ消えようとしている。
「――――君は此処へ置いていく」
「君 を 喰 ら う の は 、全 て が 終 わ っ た 後 で い い」
藍染の言葉と、言葉を無くした一護残し、強い音をたてて穿界門の扉が閉まった。
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