その頃、息を荒げながら観音寺、たつき、そしてケイゴの三人は走っていた。
藍染から離れ、心身共に少しだけ回復したたつきは観音寺から強制的に降りた所で浅野と再び合流していた。
背負っていたはずの千鶴が居ない事を不審に思ったたつきがケイゴに問い質すと、ケイゴは逃走中水色と合流したらしく、未だ意識を失っている千鶴を水色に任せた。そしてたつき達の元に向かう途中で、浅野が"アフさん"と呼んでいる人物が倒れているのを発見して、刀だけ借りたそうだ。
しかし、そんな事はどうでも良いと、藍染が確実に自分達に近付いていると浅野は言うのだ。
たつき達には分からない事を何故浅野は分かるのか。そんな疑問は藍染が近付いていると言う恐怖に呑まれ、頭の隅から消えてしまった。
そんな訳で、取り敢えず三人は「なるべく藍染と距離をとる」という案で合致し、置いてきた水色達の元に戻る事を第一と考え走っていたが、たつき達合流した距離と隠れている水色達の距離は離れておらず、すぐに目的地に着いた。
「水色!本匠!」
そこには携帯を片手に平然と座っている水色と、意識が回復し怯えた表情で座っている千鶴の姿があった。
「え?何?起きてたの二人とも?」
「ケータイの充電きれてたんだってよ」
「ごめん、でももう大丈夫だよ。コンビニで充電器盗ってきたし」
「盗って…ってあんたねぇ」
「メンドクサイこと言わないでよ。緊急事態だし店員さんだって起きてくんないんだし」
「まあそりゃ…そうだけど」
「当面の食料も用意しといたよ。ほらっ」
「あ〜〜〜〜〜」
と言って水色が広げたのは、複数の簡易食だった。それらを見たたつきは、思わず顔をしかめる。
「ビーフジャーキーとかもあるから。塩気がほしくなったらそっち食べて」
「あんたの食生活がしのばれるわ。あんた、こういうのばっか食べてそうだもんね」
「え?僕、中学入ってからは手料理しか食べてないよ」
「え?でもあんたの家って…」
「親のじゃないよ。ちゃんと探せば料理上手い女の子なんて、どこにでも居るんだから」
やり取りの途中に浮かんだ疑問をたつきはそのままぶつけると、水色はあっけらかんとした表情で応える。その様子にたつきは、今度は呆れた顔をした。
「……………。…そっか、小島ってこういう奴だったっけ」
「そーなんだよ!久々に聞くとイラッとするだろォ!?探さなきゃ良かったって思うよなッ!?」
「思ってないわよ。手ェはなせ。…で、状況は?」
「ケイゴから大体はね。とりあえず一番重要なのは、ヤバそうなのに命狙われてるってこと。
だからホイ。人数分のスタンガン」
「それはどっから持ってきたのよ。ムリだって、そんなもん効く相手じゃないんだから。そいつが近付くだけで、こっちは動けなくなるし。観音寺の棒なんて、そいつに近付いたら灰になったんだから」
鞄から大量のスタンガンをドサドサと落とす水色を見て、たつきがそんなのではダメだと説明する。その後ろで観音寺が「棒じゃない!ステッキと言ってくれ」云々と言っているが、そんな台詞を聞いている者は誰一人として居ない。
たつきの説明を聞いた水色は、一瞬間を置いて、握っていたスタンガンを始め全てのスタンガンを放り出した。
「そんな、どチートな奴なんだ。人間じゃないね。じゃあコレは置いてこ」
「?どうしたの千鶴、ボーッとしちゃって」
「…そ…、そりゃボーッともするわよ!!放心してんの!!ハナシが全然つかめないの!!なんであんた達ソク順応してんのよ!!あたしが知らないこと何か隠してんでしょ!説明してよ!!」
自分以外の全員が今起きている事を理解し、受け止めている。その事実に一瞬呆けてしまったが、たつきに声を掛けられると我に帰り、まくし立てるように、攻めるように質問を放つ。
千鶴の質問に三者三様の反応を見せたが、たつきがどんな風に千鶴に説明したら良いかと言葉に迷いながら口を開く。
「…それは…」
刹那、重く黒い霊圧がこの場に居る全員に重くのしかかってきた。
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