藍染の叫び声と共に巨大な霊圧の変化を感じながら、ギンは萌苗と共に建物の陰に隠れていた。
藍染が掴んだ手首の一部の肉が抉れてなくなっており、激しい痛みに自然と息も荒くなる。だが、しっかりと自身の手に崩玉が握られている事を確認すると、その痛みも少しだけ和らいだ。
「っ…ギンさん…!」
「…ああ、やっぱり意識あったんやね。連れて来て良かったわ…」
ギンの腕を見て、驚きのあまり思わず感情と声を出してしまった萌苗に、その事をはじめから知っていたらしいギンは安心したように声を掛ける。
「やっぱり」と言われた事に、はじめはバツが悪そうな表情を浮かべた萌苗だったが、今はそれ所ではないと、ギンの腕を止血しなければと手を伸ばしたのだが彼自身が崩玉を持っていない方の手で止められてしまった。
「!」
「……萌苗ちゃん、さっきの全部聞いとったね」
「…はい」
「なら、早ぅお友達んとこ行って一緒に逃げぇ」
「!そんな、嫌です!!ギンさんはどうなるんですか!?」
「僕なら大丈夫や。…さぁ、行きい」
ギンは不安気な萌苗に安心させる様な笑みを見せると、掴んでいた萌苗の手を放し、次に胸元を強く押して距離を取った。
よろけながら反論しようと萌苗は口を開くが、ギンから有無を言わさぬ雰囲気を感じ、自然と開いた口を閉じてしまった。
「ほら、」
「…っ、ありがとうございます…!!」
やはり何か言いたそうな萌苗だったが、それをぐっとこらえる仕草を見せると視界から自身の前から姿を消した。霊圧を追っていくと、ちゃんと藍染の居た場所から迂回しているようで。
それを確認した後、再び手の中にある崩玉を見つめてグッと握った。
―終わりや…。これで終わり―――…―
胸の奥で呟くと同時に、強い光と奇妙な音が辺りを襲う。音が自分の方へ近付いてくるのに気付き建物の陰から顔を覗かせると、天まで延びる光の巨大な柱のが出現しており、その光を裂くように藍染が現れた。
だが、藍染の姿は以前のものとは違う。
胸に空いていた穴は、その穴を支えるように十字が記され足は長い布で隠れており、背後には六枚の蝶の翅のようなものが付いていた。
「…私の勝ちだ、ギン…。お前の奪った崩玉は既に私の中に無くとも…、私のものだ」
「!」
藍染の進化に呼応するように、手の中にある崩玉が変化し始める。崩玉もが光を、音を放ち始め、手から浮いて放れていく。
「何や…これは…っ」
急な変化に、ギンは驚きを隠せない。
もう、藍染との決着は終わったと思っていたのに……。
この時、藍染の行動に変化が起こった。
上空に佇んで居た藍染が、光の残像を残して崩玉に導かれる様にギンの前に現れたのだ。
自分の近くに現れたと気付き、視線が会うか否かの所で対峙しようと素早く身体を捻るも時既に遅く、ギンの身体に深い一穿が刻まれた。
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