この時思い出したのは、不思議な光を男に捧げる男の姿と暴行を受け傷だらけで倒れている乱菊の姿。
倒れている乱菊が居る先に、下品な笑みを浮かべた男達が歩いている風景。
そして、乱菊の先を歩いていた男達は光を差し出した男であり、その光を受け取っていたのが…藍染だった。
―こいつや、こいつが親玉や。
ボクが こいつを――――
あの日決心した思い出が、決意が、ギンの頭の隅で溢れ還っていく。
同時に斬られた箇所からスローモーションの様に、辺りに血が飛び散っていく様が視界に入ってくる。
そんな中で、ギンの滅多に開く事のない薄い色素の瞳が開き、鋭く藍染を睨んだ。
互いの視線が合わさったその時、崩玉が黒っぽく濃い光を辺りに放ちはじめると、勢い良く自身の胸元に戻っていく。
それを眺めながら、藍染は過去の自分の崩玉に対しての見解を思い返していた。
―そうだ―
『浦原喜助よりも先に、私は“崩玉”という解に辿り着いていた。だが、失敗だった』
―崩玉を完成させる為に、何百という死神と何百という死神の才を持つ流魂街の住人から魂を削り奪り崩玉に与えたが、崩玉は一向に満足しなかった―
『たが、実験結果を見る限り、浦原喜助の崩玉も完成してはいない』
―ならばその崩玉を奪い取り、私の崩玉に与えよう。
そうすれば―――
途中思い返すのを遮るように、斬られたにも関わらず懸命に崩玉に手を伸ばされたギンの腕を、藍染は躊躇無く引きちぎる。
反動で後ろへ倒れていくギンの身体に、留めとばかりに藍染は自身の斬魄刀をギンの心臓に突き刺した。
「――進化には恐怖が必要だ。今のままではすぐにでも、滅び消え失せてしまうという恐怖が」
「ありがとう、ギン。君のお陰で私は、遂に死神も虚も超越した存在となったのだ」
意識が薄れていくギンに対し、最初は言い聞かせるように崩玉の進化の定義と、次に彼に対して薄く感謝の意を唱える。
そして、何の反応も示さないギンを、持てる力を全てぶつけるように建物の壁に押し付けた。
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