「!」
「萌苗!!」
「…やはり目覚めていたか、萌苗」
「…」

藍染の斬魄刀を受け止めたのは萌苗だった。死を覚悟しかけた乱菊は、思わぬ人物の登場に驚き、ケイゴも何時の間にか藍染の前まで移動した萌苗に驚きつつも、萌苗が藍染に噛みついた事に恐怖の色を惑わせながら彼女の名を呼んだ。

「いつから意識を取り戻していた?」
「…浦原さんに助けてもらった時からです」
「そうか、なら合点がいく。しかし、何故君は私に剣を向けている?君は確か、私の意見に賛同していたと認識していたが」
「確かに……最初は一護達の事があったから、藍染さんの空座町を消すという意見に賛成してました。それで織姫達も一瞬に消えてしまえば、って…。…でも此処に来て、ケイゴ達の顔を見て、「ああ、私は何てくだらない理由で空座町を消そうとしたんだろう」って、改めて自分は馬鹿だと思い知ったんです」
「そして、私は一人じゃなかったんだって、ずっとケイゴ達が居てくれてたんだって、大切な事を思い出したんです。」
「萌苗……」
「馬鹿みたいに一護達の事ばかり気に掛けて、ケイゴや水色達が元気付けてくれていたのを私はちゃんと見てなかった。見てみぬフリをして、悲劇のヒロインぶっていた。だから…」
「だから空座町を護ると?健気だな」
「しかし、君に分け与えた力は、元は私の力の一部だった。その力を返還してしまった君は、治癒能力も斬魄刀の解放能力も持ってはいない、少し霊力を持っただけの人間と何らか変わらない。そんな状態でこの私に勝てるでもと思っているのか?」
「思っていません。藍染さんの力はこの眼で見てますから。…でも、今までの償い…と言うのは烏滸がましいけれど、それでも私は此の町を護りたいんです」

「せめて、一護が此処に辿り着くまでの時間稼ぎになれば」と喉まで出掛かった言葉をぐっと飲み込む。
その言葉を口に出してしまえば、結局は一護の力に甘えて頼ってしまう事になる。そんな弱いままの自分でいたくなかった。あの頃から何も変わってないと、思いたくなかった。
そんな萌苗の心を読み取ったように、藍染は笑みを浮かべ、弾かれたままの体制から刀をゆらりと下げた。

「その志は評価しておこう。…しかし君は元々、黒崎一護を空座町までおびき寄せる餌にしかすぎない。故に、君が用無しになった時点で彼等と共に始末するつもりだった。まさか君から私に殺されに来てくれるとは、ある意味好都合だな」
「…そうですか」

萌苗は一瞬軽く息を吸う。そして恐怖と覚悟に鋭く眼を光らせながら、高く跳び上がり、引力に導かれ落ちる身体を利用し剣の切っ先を藍染に向かわせた。




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