「…ん?」

クローゼットの扉に、何処かで見た覚えのある巾着が置いてあった。

「これは…」

中を開けて見れば、ソコには何処かの家の鍵と貯金通帳・判子。そして、二つに折ってあるメモ用紙が入っていた。
一護は、中からメモ用紙だけを出して巾着を床に置き、メモを見る。

「!」

そこには見覚えのある字で、こう書いてあった。

― 一護へ。

もう、私は前の様な生活には戻れないという事を今更ながらに悟りました。だから、またお願いをしちゃうんだけど、私が住んでたマンションの部屋の家具を全部処理して、マンションを売り払って下さい。
念のため、貯金通帳等の貴重品は、一護に預けておきます。その他の事はおじさんと相談して決めて下さい。
…勝手な事ばっかりして、ごめんなさい。でも、今頼れるのは一護だけだから…。お願いね。

萌苗―

それを見た一護は手紙を巾着の中へ戻し、無言で着替えた。着替え終わると巾着を持って急いで階段を下りる。
その音に気付いた一心が、リビングの入口から顔を出した。

「何だ一護、でかけるのか?」
「あぁ。オヤジ、これ預かっててくれ」

ポイと巾着を投げ、それを受け取った一心を靴を履きながら横目で確認すると、玄関のドアを開けた。

「オイ一護、これ確か萌苗ちゃんの「じゃあな」」

一心の言葉を遮るかの様に、一護は扉を勢い良く閉めた。

「…ったく何なんだ一護のヤツ…。…ん?」

巾着がちゃんと閉まっていなかったらしく、隙間からちらりと白いメモが見えた。一心は面白半分で巾着を開けメモを見た……が、途端目が険しくなる。

「…萌苗ちゃん、やっぱり君だったのか…」

そう漏らし、一心は部屋へ行くために階段を上っていった。




- 27 -



ココロ

top
ALICE+