コンコン と軽くノックしてから部屋へ入った。私に気付かないのか、織姫は立ったまま外の月を見ている。

「…此処に来てから、ずっとそうやって立っていたの?」
「あ、萌苗ちゃん」
「座れば良いのに」
「うぅん、いいの。座っちゃうと外、みれなくなるし…」
「そうなんだ。…あ、織姫まだあの服着てなかったんだ。私、織姫に服着せに来たの」
「え、あ、そうなの?着方わかんなかったら、そのままにしちゃってたんだ」

へへへ って笑う織姫が可愛くて、同時にとても強い子に見えた。私が織姫と同じ状況にいたら、きっと笑えない。
…今も上手くは笑えてないけど…。

「そうだね、複雑な形してるもんね。でも現世の服と仕組みはそんなに分からないから…。…はい、ソレ脱いでコレに袖通して」
「うん」

やっぱり、服は織姫のボディラインにジャストフィットしていた。藍染さんはどうやって測ってるんだろう。
今回のデザインはちょっとセンスを疑ってしまう位のフワフワとした服だ。
そんな織姫の衣服を整えている時、ふと今の状況に似つかわしくない考えが、私の頭の中をよぎった。

「…織姫」
「え、何萌苗ちゃ「振り向かないで そのまま聞いて」」

私は織姫の後ろでしゃがんだ体制のまま、話をしだす。
織姫は当然の事ながら、ぇっ と小さく声を発し、困惑していた。

「も、萌苗ちゃ」
「ねぇ、織姫」
「貴女、此処から逃げる気…ある?」
「えっ…」
「もし、貴女が此処から抜け出したいっていうのなら私が手助けして、一護達の処に送ってあげる。私なら此処の道は大体把握してるし、それなりに戦う力もあるわ」

「この命に代えても、貴女を一護の元へ」という台詞は飲み込んで…。




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