「萌苗…」
ジャリ、と砂を踏む音と共に、一護は萌苗の傍に近付いていく。
萌苗が動かないのは、涙を抑えるのに懸命で気付かないから?それとも赦してくれるチャンスをくれているから?
そんな不安と期待と共に少しずつ、でも確実に萌苗との距離を縮めていき、手を伸ばせば届くまでになった。
「萌苗、俺は…」
「触んな…っ」
「「「!!!」」」
突然、背後から倒したはずのグリムジョーの声が聞こえた。見れば解放時の姿のまま立ち上がっている。懸命に立つその息は荒い。
「グリムジョー…!」
ゆっくりと、一歩一歩向かってくるグリムジョーを見据えたまま、一護は斬魄刀に手を伸ばす。先ほどまで顔を隠していた萌苗も驚きで顔を上げると、グリムジョーへ視線を移した。
「グリム、ジョー…」
「…黒崎くん…」
見かねた織姫が一護の名を呼ぶ中、急にグリムジョーが解放を解きはじめた。豹を模した形状は斬魄刀に収まっていき、解放前の姿に戻っていった。
「…敗けるかよ…。俺が…俺がてめえなんかに…敗ける訳が無えんだ!!!」
ダン と強く踏み出し速度を上げて一護に向かうグリムジョーを見た一護は、不意に握り直した斬魄刀を放し、萌苗を通り過ぎ同じ速度でグリムジョーに向かい合う。
一護の斬魄刀が地面に刺さった頃には、一護はグリムジョーが振りかざしていた斬魄刀を通り過ぎ、手首を掴んで止めていた。少し力を込めただけでも簡単に止められてしまうほどの衰弱ぶりは、心が痛むものがある。
「…もう止めろグリムジョー。…てめえの敗けだ。てめえが王だか知らねえが…、気に喰わねえ奴を片っ端から潰して…一人だけ王になって…、そんなもんの何が楽しいんだ…!俺のことが気に喰わねえなら何回だって戦ってやる…。だから…今は止めろ…!」
眉間に皺を寄せながら苦しそうに言う一護に対し、グリムジョーの瞳が鋭くなり、憎悪に満ちたものになった。先ほどとは比べものにならない力で、一護に掴まれた手を振り解く。
「ふざけんな!!!てめえは…」
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