終わり無き善行第三章 偽善の女神
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戦争が激化する以前
ロウは世界中を放浪していました
かつての出来事で心に大きな傷を負ったロウは、報復の無意味さを痛感しました
ロウの小さな頭では、感じるだけで精一杯です
ロウはとにかく「助けること」にしました
誰も傷つけないように優しさをふりまいていけば、いつか争いは無くならないだろうか?
それは未確定なことです
ロウの頭ではそれ以上のことは考えられません
ですが、決して悪いこととも思えません
助ける、救う
そうしよう
そうし続けよう
ロウは心に誓いを立てました
長年マナを扱ってきたことにより、ロウの力は冥界から来たばかりの頃よりもはるかに強大になっていました
その力を様々な場所で発揮しました
ある村では、年老いた老人の筋肉を再生させ、歩けるまでに治療したり
ある村で疫病が流行れば学んだ知識から薬を作ったり
ある村では医者がいないため怪我人を無償で治療し続けたり
ある貧しい村では土を肥やしたり、油田や井戸を掘り当てたりして人々を潤したり、と
あらん限りの善行に励みました
多くの笑顔が 感謝の気持ちがロウに送られました
しかし、決して良いことが起き続けたわけではありませんでした
老人たちが元気になった村では、出歩く老人が増えたことにより事故死者や行方不明者が多発しました
疫病用の薬を開発した村は、その薬の製法を独占し高額で他の村に売りつけるようになりました
怪我人を治療し続けた村は、また治療してもらえるから、と無茶な運動や喧嘩、犯罪が増加してしまいました
恵みを与えられ潤った村は、資源を求めた国に弾圧され村人は皆殺されてしまいました
ロウの善行が原因となり生まれる争いの数々
争いと共に浮かび上がる無数のヌケガラ
ロウは悲しみました
一人相撲
いたちごっこ
正しいと思ってるのに
いいことだと思っていたのに
人を傷つけてしまう
人を悲しませてしまう
そんな自分を呪いました
絶望を繰り返しながら、それでもロウは善行を止めませんでした
道行く人々を手当たり次第に助け笑顔を見守りました
助けた人々が起こす争いを見て、また 絶望しました
そんなことを繰り返していました
時は過ぎ
大きな戦争が起きる時代になりました
戦争はわずかな時間で多くの命を消し去ります
ロウがこの世で一番許せない行為でした
しかし怒りによる報復がどんなに切ないものなのか、ロウは身にしみていました
ロウは誓いました
私は楯になる
みんなの楯になる
みんなを
守り続ける
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