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【SW小説】友と父と精算の話※未完



「データに誤りがあったのか?」
「いえ、書いてある内容に間違いはないのですが……」
 会員Aが再び鞄に手を入れて取り出すのは、一冊の手帳。
 白く細い指先で手帳を開き「ちいさくて読みにくかったらごめんなさい」と言ってページを見せながらテーブルに置く会員A。身を乗り出して確認する私達。
 そこに書かれているのは、先ほどノートに書いてあるのとほぼ同じレイアウトでまとめられた身長の成育をまとめた表だった。日付を見てみると、今ここに出されている表は会員Aがテストを始める日のさらに一月前のものだとわかった。
 どうやら会員Aはテストを始めるずっと前から身長がどれだけ伸びたかまとめていたらしい。
 この月の最終日は135.4cm。例のテストがこの次の日に行われていたので合致する。そこから視点を上に上にと遡っていき、この月の頭は135cm。
 あれ?これって……と気づくのと同時に隣の会員Tがあっ、と声を漏らす。
「こっちでも4ミリ」
 テスト前に4ミリ伸びた。
 その後マシュマロを食べ続けてから、4ミリ伸びた。
「つまり……変わってない?」
 会長がそう問うと会員Aは申し訳無さそうに「はい……」と呟き、「それで、ちょっとマシュマロについて詳細を調べてみたんです」と薄桃ノートを手に取り別ページを開いてみると、先ほどとは違う表がそこにあった。
「身体の成育に……というより骨の成育に良い成分がマシュマロに含まれているのは確かなようです。ただ、マシュマロ一個に対しての含有量が少ないようで、テストでは十分な成果が得られませんでした。マシュマロで必要量を摂取しようと思うと、毎日マシュマロばかりを食べ続けることになります」
 テーブル端に置かれたマシュマロの袋を見る。これをずっとは辛い。想像すると思わず眉間にシワがよる。
 私マシュマロ苦手なんだよなぁ、味がシンプル過ぎて。
「マシュマロには他に砂糖だって含まれているから、他に何かを食べたりなんてしたら……!」
 そう深刻な声色で呟く会員Tに想像を促され、頭に浮かべた食生活のその果てに戦慄する一同。
 私達は縦に伸びたいのだ。横に伸びたいのではない!
 多大なリスクを冒してでもマシュマロを食べ続ける覚悟など、この場の誰も持ちあわせていなかった。
「ほ、他にその成分を摂取できそうなものは?」
 会長の問いに、会員Aは「一応調べてはみたんですけど……」と別ページを開く。
「隣国で売られているプロテインの中に多量入っているようです。海の珍しい巨大生物のヒレを使っているとかいうことらしいのですが、ひと缶のお値段が高価で」
「なになに……うん、うちのカレー四十六食とオプションソーセージ二本ぶんね。諦めよう!」
 表を見て自分ちのメニューと照らし合わせられる会員Tすごい!
 そんな常連でもない私には正解かわからないけど!
 
「しっぱいだーーー」
 会長が涙声でテーブルに突っ伏す。会合の最後は大抵こんな感じだが、放っといても知らないうちに立ち直っていることを知っている私達はいつものようにスルーした。
「あ、テスト中なるべくマシュマロの味に飽きないように色んな食べ方を調べて試してみたんですけど、中でも美味しかったのがホットココアに浮かべて飲むやり方で」
「それ、お姉ちゃんがよく飲んでた」
「うちココア置いてるし、作ってこよっか」
 とテーブルのマシュマロを手にとって立ち上がる会員T。私は会長の肩をとんと叩きながら、
「会長も飲むよね?」と聞くと、突っ伏したまま動かない会長はしばしの沈黙の後「……にはいのむ」と呻いた。


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