To 1999:07/20
ディアー.へ




私はディアー.
真っ暗なお部屋に 蛍光灯の明かりがポツリ
ピンクのベッドの上に イルカの抱き枕
勉強机の上は ごちゃごちゃの筆記具
キミは苦しそうな顔 悩みに悩んでいる顔
時計の太い針が どんどん進んでいく

キミの足元には私の死体がたくさん
ずいぶん殺されちゃったなぁ
でも分かるよ
大切な「言葉」だから 大事な「言葉」だから
失敗したくないもんね

私に託されたのは 肌色のカーディガン
キミはいつもワンピースで装うけど
今回は気合を入れて 肌色のカーディガン
トレードマークはハートのワッペン

「言葉」は準備バッチリ
でもキミは不安そう
それじゃダメだよ 明日大丈夫?
目の下にクマを作って 爪をかじって
髪はボサボサ 心臓はバクバク
メイクでごまかすって?
そんなにうまくいかないと思うけどね

真っ暗な部屋
キミの寝返りが何度も机に響く
そんなに唸らなくてもいいじゃない
自分に何度も言い聞かせてきたじゃない
当たって砕けろ やるだけやってみてご覧よ
別に世界が終わっちゃうわけじゃないんだからさ

まあ ここは私に任せて
こんなにステキにおめかししてくれたんだ
キミが入念に繕ってくれた分
私がキミの武器になるから

ほら起きて もう朝だよ
ああ やっぱり
お化粧なんかする時間ないよ
せめて私は忘れないで
急いで学校に行こう

放課後のチャイムが鳴る
さあ 気合入れていけ

いつもの装いのキミ
いつもとは一味違う私
キミは真っ赤な顔で
私を彼に押し付ける
キョトンとした彼をよそ目に
キミは全速力で逃げ出す
よく頑張った
ここからは私の仕事だ

夕日も沈み 薄暗い部屋の中
カーディガンが蛍光灯の光に照らされる
「言葉」がなくても分かるよね?
ハートのワッペンだもの
友達のままでいたくなくて
キミのことがもっと知りたくて
彼女が私に託した想いがたくさん
自分の声で届けたかったけど
その勇気がなくて 私に託した「言葉」

ほら 素敵な笑顔が見れた
引き出しを開けたそこに 彼女の写真
全然問題なかったみたいだね
明日キミが彼女に伝える「言葉」
それが聞けてよかった


私はディアー.
やきもきしている彼女に
早くこの想いが届くといいなぁ



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