小さい頃の話 羊side
※柚杏は彼女が苦手設定
性格悪いです
何でも許せる方向け
中也が外を出ている時であった。よく共に連んでる中也は居ないし名前も見当たらない。白瀬は暇を潰す為に何をしようか思考を巡らせていた。
本を読むのは気分でないし、外に出るにも宛が無い。それに、今は抗争の真っ只中だ、日に日にその勢いは増していく中に何の考えもなくフラフラ歩くのは自殺行為である。白瀬はぼんやりとした表情で怠惰を貪った
「ねぇ白瀬、今暇ー?」
「柚杏か?暇だけど」
「中也の事教えてくれない?」
どうやら暇潰し相手が見つかったようだ。白瀬は柚杏の所に向かい、共に場所を移動した。
「つっても、何聞きたいんだ?」
「中也って小さい頃どんなんだったのかなーって!」
「あーあいつなぁ…昔は赤子みてえだったんだよ」
「あ、それは聞いたー」
小さい頃の記憶をなんとか探して柚杏にそのエピソードを伝えていく。いつの事を思い出しても、基本的に名前が絡んでいるなと白瀬は苦笑いをするが、柚杏はあまり楽しく無いのか唇を尖らせながら適当に相槌を打っていた。
「名字さんって親みたいなものなんだよね?」
「まあそうだな」
「親みたいな人が中也の事好きってどうなの?」
中也に関しても、作戦を考えるにしても、相談に乗って貰うのも何事も名前、名前、名前。柚杏はそんな羊の体制に少し不満を持っており、その苦手意識が名前に向くのは自然なものであった。
皆が信じてる彼女の像を少しでも壊してみようと幼稚な考えで今回言葉を発してみれば、白瀬は目を見開き驚愕の表情を浮かべたではないか。
「そ、それいつ聞いたんだ?」
「さっき〜」
「まじかよ…嘘だろ…そんな、名前が…」
真逆、こんなに思い通りにいくものなのかと柚杏は内心ほくそ笑んだ。
「名前が恋愛感情を理解してる…!?」
いや違う、そうじゃない。予想外の反応に柚杏は思わずずっこけた。
たまたま白瀬と柚杏の話を聞いていた子が居り、他の子にこういった話をしていたという事を告げ口をする。噂好きの羊は、名前が中也を好きだという噂は瞬く間に周囲に広がった。それは夜に帰って来た中也にも話は伝わり、中也が起こした行動はまずは白瀬の所に向かう事であった。
「白瀬、善いだろ」
「は?何が?」
「俺は名前に好かれてんだぜ」
まあ得意げな表情でそう云うではないか。白瀬は聞かねば機嫌を損ねかねない中也に、大変面倒な気配を察知しながら問いただした。
「そもそも名前は好き嫌いあんましないだろ」
「それでもォ?基本云わねぇ名前が言葉にする程好かれてるって事だろ?」
「名前から直接聞いたの?」
「…」
唇を尖らせて途端に黙りだす中也に、恐らく周囲の人から聞いたのだと白瀬は思い至った。
「他の奴からなんて聞いたんだ?」
「名前が俺の事大好きだとか、俺が居ないと寂しいだとか…」
中也に聞けば、尾びれに色々付いて回った噂であった。名前は中也が居なくて寂しいだとか常日頃共に行動したいとか結婚したいとか。まあそれはそれは元の話から随分肥大化している事に白瀬は頭を抱えた。
「中也、云っとくけど、」
「何だ白瀬、嫉妬でもしてんのか?」
ニヤリ。見当違いな考えをしている上、それはそれは腹立つ笑みを浮かべる中也に1発食らわせてやろうかと考えたが、それ以上につけあがるだけで何の解決にもならない。白瀬は鬱憤を込めて溜息を吐いた。
「そもそも、その噂ほとんどデマだよ」
「は?」
「寂しいとか結婚したいとか色々云ってるのはデマ。大体こういう話は悪乗りする奴ら多いし」
「んっだよそれ…」
あからさまに機嫌が悪くなっていく中也に、あまり気乗りはしないが真実を伝えた。
「嗚呼、でも中也の事が好きだと云ったのは本当だよ」
「…まじでか?」
「恐らく僕らの会話が原因だと思うんだけど、そう言っていた事を柚杏が聞いたらしい」
「火の無い所に煙は立たねぇって言うもんなァ」
にまにまによによ。中也の表情を表現するには適切であろう位にそれはそれはもうだらしない笑みを浮かべながら白瀬にマウントを取ってくる中也に、矢張り一寸殴ってやろうかと思う白瀬であった。
次の日、ご機嫌な中也が居ない時に白瀬は名前の所に行き、真実を確認する事にした。
「え?嗚呼、柚杏ちゃんが中也の事好き?って聞いてきたからそう答えたけど…何で?」
「否、一寸気になってな。ちなみにその好きって云うのは、どういった意味での好きなんだ?」
「?弟として以外何かある?」
心底不思議そうな表情で白瀬を見つめる名前を見て、嗚呼矢張りこういうオチだよなと白瀬は内心変わらぬ彼女にほっとした。