フリーハグ
晩ご飯も食べ終え、テレビをBGMに乾いた洗濯物をせっせか畳んでいた名字名前は、いつの間にかテレビに釘付けになっていた。テレビに流れているものはストレス解消法といった類いのものであり、昨今の社会はストレスに悩まされているという事で特番になっていた。そこで名前が見たものというのが、ハグをするとストレスが激減するといったものであった。
「成る程…お互い抱きしめ合う事によって解消されるものなのか…」
これならコストも掛からず善いストレス解消法になるのではないか。名前は顎に手を当てて今居る職場の人達の顔を思い浮かべ、彼らが感じているしんどさや辛さを少しでも和らげる事が出来るのではないかと思い至った。
そこで名前は、次の日から文字を書いた紙を胸に掲げてこう云うのだ。
「フリーハグです!」
〜太宰治の場合〜
「名前ちゃん、何でそうなったのか教えてくれない?」
「ハグをするとストレス解消されるらしいよ」
「成る程、それを口実にハグし放題って事だね?」
「否、ストレスを感じてたらって話なんだけども…太宰君ストレス無い?無かったらやらないけど…」
「あー!とってもストレス溜まってるなー!これは名前ちゃんにハグして貰わないと解消出来ない!」
「はいどーぞ」
「…うん、私から云って何だけどもうちょっと警戒した方が善いと思うよ」
この後何かと抱きしめてくる太宰が目撃された
〜織田作之助の場合〜
「ハグはストレス解消されるらしいですよ織田作さん!どうですか?」
「年頃の娘がそんな事するものではないぞ」
「す、すいません…織田作さんの負担が一寸でも減ったらと思ったのですが…ご迷惑でしたか?」
「否、そういう話では…なら一寸だけ頼もう」
「は、はい!どーです?」
「嗚呼、有り難う」
「へへ」
しょんぼりした彼女の顔に滅法弱い織田作。この後じゃれあう癒やし系
〜坂口安吾の場合〜
「安吾さん、とってもお疲れのようですから善ければどうですか?」
「…年頃の女性がそんなホイホイ躰を赦してはいけませんよ」
「特定の相手だけですよ!そんな色んな人に声を掛けてる訳じゃありません!」
「そうですか、ならば善いのですが…僕は結構です」
「え、ボロ雑巾みたく1番疲れてそうなのに…?」
「貴女の中の僕の印象がよく分かりました」
この後彼女が背後から特攻した。
〜中原中也の場合〜
「…は?」
「ん?」
「何でそうなったんだ?」
「ハグすればストレス解消するんだって」
「何処情報だ」
「テレビ」
「…まあやるけど」
「はいどーぞ」
「手前、俺以外にやってねぇだろうな?」
「中也に聞いたのが最後だから…4人目?」
「はぁぁああ!?!?」
「耳元で叫ばないでよ、もう」
この後滅茶苦茶喧嘩した