首をはねろオフ・ウィズ・ユアヘッド!」
「ふぎゃっ!?なんじゃこりゃ!?」
赤髪の男の子のユニーク魔法だろうか。狸の首にハートの形をした首輪が取り付けられている。
「ハートの女王の法律・第23条「祭典の場に猫を連れ込んではならない」。猫であるキミの乱入は重大なルール違反だ。即刻退場してもらおうか。」
「オレ様は猫でもねぇ〜っ!」
狸だもんな。
「こんな首輪すぐに燃やして…あ、あれ?炎が出ねぇんだゾ!」
彼のユニーク魔法は、首輪の付いてる者の魔法を封じるといったものらしい。魔法士からしたら何も使えないただの人同然となってしまうから、たまったものじゃないだろう。現在無期限で使えない異能力者としては気持ちは存分に分かる。
「どうにかしてください!貴方の使い魔でしょう!?しっかり躾を…」
「だから違いますって」
「え?貴方のじゃない?」
「さっきから何度も言ってるでしょうが」
「そ、そうでしたっけ?」
本当この学園長話聞かねえな。
「学園外に放り投げろ」という学園長の命令によって、他の生徒の手によって狸は喚き散らしながら外に連れ出されていった。
「少々予定外のトラブルはありましたが入学式はこれにて閉会です。各寮長は新入生を連れて寮へ戻って下さい。」
「…ん?そういえば、ディアソムニア寮、両庁のドラコニア君の姿が見えないようですが…」
どの寮にも配属されない私はこれからどうすれば良いのだろうか?あの狸のように外に放り出される?
…いや、それはなんとしても阻止したい。そもそも、呼び出したのはこの黒き馬車だかなんだかだろうし、その辺りを突いてなんとしてもここに留まって元の世界に戻る方法を探さないと。
「おお、やはり。もしやと思って来てみたが、マレウスは来ておらなんだか。」
大変可愛らしい美少女が現れた。喋り方は少し古風であるが、そこもまた愛嬌だろうか。
「さて、ナマエさん。大変残念な事ですが…貴方にはこの学園から出て行って貰わねばなりません。魔法の力を持たない者をこの学園へ入学させる訳にはいかない。」
だろうな。この男をどうにか納得させる事の出来る言葉を選ばないと。
「心配はいりません。闇の鏡がすぐに故郷へ送り返してくれるでしょう」
「か、帰れるんですか!」
元の世界に戻れると言うならここに滞在する理由など無い。さっさと戻って戦力にならねば、いつ首を切られるか分からない。
「さあ、扉の中へ。強く故郷の事を念じて…さあ闇の鏡よ!この者をあるべき場所へ導きたまえ!」
やっと帰れる。長い夢だった…報告はなんと伝えれば良いのやら。異能力が暴走して別世界に行ってしまったと言っても信じて貰えるだろうか。
故郷の友人、仲間、首領、街中。記憶を掘り起こして強く念じる。
闇の鏡は、何も言う事が無い。
「ゴ、ゴホン…もう一度。闇の鏡よ!この者を…」
「どこにもない」
「え?」
「は、」
「この者のあるべき場所はこの世界のどこにも無い…無である。」
「な、んで…」
私の世界が、何処にも…無い?
信じられない。いや、あり得ない!私はあの場所で生まれ、親の居ない孤児として生き、今の組織に拾われて十数年生きてきた。絶対、絶対あり得ない。
狼狽えてるのは私だけじゃない。学園長もそうであった。
「そもそも貴方、どこの国から来たんです?」
「わ、たしは…横浜の地から来ました。」
「…聞いた事のない地名ですね。」
「何だって」
「私は世界中からやってきた生徒の出身地は全て把握していますが、そんな地名は聞いた事が無い。一度、図書館で調べてみましょう。」
嘘だ。あり得ない。
なら、私は一体何処の誰なの?