逃げたグリムを追っていれば、大食堂に戻ってきた。
グリムは身軽にもシャンデリアの上に登ってしまい、私達では届く事が無い。異能力があればグリムを捕まえる事など造作も無いのに…!
「お前を投げれば良いんだ!」
「は?わーお」
デュースの考えは突拍子も無いな。彼の魔法でエースは宙に浮かせられ、シャンデリアに放り投げられる。
「あ、シャンデリア」
目を回しているが傷は無さそうなグリムを捕まえる事は出来たのは良いが…シャンデリアが地面に落ちてしまった。被っていた埃が辺りを充満し、埃っぽさに咳が出る。
「おっま…バッッッカじゃねぇの!!!!???」
エースがデュースに向かって叫ぶ。
「グリムは捕まえたけど、シャンデリアぶっ壊したのが学園長に知れたら…」
「知れたら…何ですって?」
「あ…学園長…」
あーあ、しーらね。
逃げようと気配を消したのだが、学園長に首根っこ掴まれて逃走は失敗に終わった。チッ
「もう許せません。全員、即刻退学です!」
「え、私も?関係無くね?」
デュースが学園長に物申すが、取り付く島もない。魔法の力で動いているようで弁償するというデュースの言葉は切り捨てられた。
魔法で直せば良いとエースが言うが、魔法石が無いと稼働はしないらしい。そして今回、その魔法石が悲しきかな砕けてしまったので、永遠に使える事は無い。
「1つだけ、シャンデリアを直す方法があるかもしれません。」
「え」
ドワーフ鉱山という所で採掘された魔法石。同じ性質を持つ魔法石が手に入れば直る可能性もあると言うのだ。
あくまで可能性であるし、そもそも石が残ってる確証は無い。そこから同じ性質を持つものとなれば…相当確率は低いだろう。
尚且つ、既にその鉱山は閉山してしまったようで、他のヤツに全て掘り尽くされてる可能性だってあるらしい。望みは薄そうだ。
ただ、退学をさせられるとなれば話は別だ。私は元の世界に帰る事が出来ない異質な人間で、戻る方法を探すにはこの学園に残る事こそが最適解。
「明日の朝までに魔法石を持って帰ってこられなければ君たちは退学です」
首の皮一枚繋がったようだ。さて、これから一体どうすれば良いのやら。
目を回してるグリムの首根っこを掴んで、ドワーフ鉱山に移動する事になった。
闇の鏡を利用してドワーフ鉱山に移動した先、家があったので話を聞きに行く事にした。
扉を叩き、家の中に入る。ここは空き家になって随分経過しているようで、私の利用してる寮のようにとても汚かった。
居ないとなればここで時間を費やしても仕方無い。エースが炭鉱の中だろうと当たりを付け、私達は鉱山の内部に入り込んだ。
中に入って魔法石を探す。が、この辺りには何も無いようだ。
「何か…いる!」
彼の視線の先に居るのは、2体の幽霊であった。
追いかけ回してくる幽霊を彼らの魔法を使って攻撃するも、逃げる先々に幽霊が居るという面倒臭い状況。鉱山の内部に入り込んでしまった。
エースとデュースが口喧嘩を始め、誰が悪いのかとグリムも交えて罪をなすりつけあい、それを見かねたデュースが仕切ろうと声を上げ、エースがデュースに突っかかる。
この癖ある人達をどうにかして纏めなければいけない。一体誰が?…ん?
「シッ静かにして。…今、何か聞こえた」
「…さぬ…うぅ…ぬ…」
やけに籠もって聞き取りづらい声。その声には恨みや殺意が滲んでおり、戦闘態勢に入った。
「い…し…ウゥウウ…オデノモノ…」
声がだんだん近づいて来ている。だがその姿は見えない。何処だ、声の聞こえる先、殺気が滲んでくる先…
「あっちだ!」
「イジハ…オデノモノダアアアアアアア!!!」
私が指差した方向、全員がそちらを注視すれば、化け物が居た。
赤い衣服を着て赤く光るランタンを片手に持つ、化け物。顔は…瓶の形をしている。瓶の中から黒い液体が滲み出ており、人の姿をしていなかった。
「で、出たあああああ!!!」
「ぐえっ」
化け物に人間の武器は効くのだろうか?拳銃を取りだそうとした瞬間、デュースに首根っこ掴まれてその場から一時撤退した。
「なんだあのヤバイの!?」
「ふなあああ!!あんなの居るなんて聞いてねーんだゾ!はよ逃げろ!」
「うーん、でも石はオレのものって言ってたから逃げるより倒した方が得策な気がするんだけど」
「えぇっ!?」
「イジ…イシ、ハ…ワダサヌ…!」
「ほれ。ここに魔法石まだあるんじゃない?」
私達を追いかけてくる化け物の声を聞いただろう3人。
「やっぱりここに魔法石はまだあるんだ!」
「だから言ってるじゃん…」
グリムは怖いのだろう、撤退宣言をしている。デュースは戦う事を決意し、それを聞いたエースは狼狽えた。彼もグリムと一緒で逃げるつもりだったらしい。
「俺は絶対に退学させられるわけにはいかないんだ!」
「お、よく言った。じゃあ戦いましょうかね。」
2人でどれだけ戦えるか分からないが、やってみないと分からない。
私は作戦を考える為、追いかけてくる化け物から逃げながら頭をフル回転させた。