3-4.一方、観察者たちは
店を出た瞬間、夜の空気が少し冷たく感じられた。
並んで歩いていると、来た時と同じように自然と隊列ができる。
前を歩くのは、虎杖と透子。
少し離れて、伏黒と釘崎。
最後尾に、五条という順番だった。
釘崎は前の二人を見ながら、伏黒に小声で言う。
「……ねぇ、あいつらって付き合ってる?」
伏黒は即答だった。
「付き合ってないらしいぞ」
「あれで? 嘘でしょ」
釘崎は眉をひそめる。
「だってさ、皿取る係、醤油管理係、栄養バランス係、全部虎杖よ?」
「……保護者だな」
「彼氏じゃなくて?」
伏黒は肩をすくめる。
「本人は無自覚」
「透子の方は?」
「……たぶん、ある」
間があった。
「ほら見なさいよ」
そこへ、後ろから楽しそうな声。
「いや〜、あれはもう時間の問題でしょ」
五条が、両手をポケットに入れて歩いている。
「先生、聞いてたんですか」
「聞こえるように話してたでしょ?」
五条は前方の二人を見て、にやっと笑う。
「悠仁さ〜、透子のこと見てるとき、目が優しすぎるよね」
「キモ」
「ひどいなぁ」
「本人たちは気づいてないけどさ」
五条は軽い調子で続ける。
「周りから見ると、もうそういう距離なんだよね」
「ですよね」
「でしょ?」
三人は、そっと前を歩く二人を見る。
虎杖が何か言って、透子が小さく頷く。
それだけで、歩幅が揃う。
「もう付き合えばいいのに」
「だから簡単じゃないんだろ」
「ま、見守ってあげようよ」
五条が楽しそうに言った。
「こういうのは、くっつくまでが一番面白いんだからさ」
「相変わらず、性格悪いですよね」
「褒め言葉だよね? それ」
その会話を知らないまま、虎杖と透子は、並んで歩いていた。
その距離は、もう十分すぎるほど近かった。
けれど二人は、それに名前を付けることなく、ただ同じ速度で歩いていた。
それがいつまで続くかも知らないまま。