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「…三好さま、桂小五郎と言う者をご存じやろうか」
「か、かつらっ…?」

 合間にゆるゆるしごかれる陰茎は流石と言うべきか、女ではわからないだろうしごき方をしてくるもので。

「待て、待てぃ」

 ぱきっ。
 線香がもう一本折れたようだ。
 早く話せと言うことかもしれない。

「いぃいやぁぁ、」
「待っていては身が持たないのではないですか、お侍様」

 微笑は怖い。
 だが妖艶すぎて「ははぁ、」と新たなる道を開いてしまいそうな混乱が三好の頭を占めてきた。

 ぱきっ。
 三本目を折ったところで翡翠は起き上がり、糊の袋を舐める。ヤバい、けどどうしよう。
 翡翠に陰茎の根本を掴まれた三好は「いぎゃっ」と絞め殺された鶏のような声を洩らすが、体制的に逃げられそうにない。涙目になってくる。翡翠の笑顔が滲んだ。

「大事ないですえ。貴方はただ喋ればいいのです、洗いざらい、こってりと」
「か、かつらがどうしたって、痛゛っ。か、かつらって、あの、桂か、」
「あのとはどなたでしょうか」

 股間に糊と手が滑った。
 酷くひりひり、しかし相当な刺激を股間にもたらした。

「いやっ、剣術、し、神道無念りゅぅーのぉぉ!」
「あらぁ、そんなにお強い、方、で…」

 握られたまま止まり、綺麗な顔が歪み始めた。
 何事かと三好が翡翠の手元を覗けばなるほど、足が露で臀部に伸びている。
 そして翡翠の懐からは入れ墨が見えたのだから、三好には恐怖しかなくなってきた。しかし、糊の刺激で股間は恐怖も構わないらしく、わなわなしていた。

「おまっ、なっ、」
「はぁ…っ、で、そのお坊っちゃんはぁ、どないな方で?」
「え、えっとぉ…その…お前は何者」
「そのお坊っちゃんはどないな」
「あわわわ!あの、た、大会で良い線行ったやつ…しか」
「はぁ?」
「いやホントに知らないけど、」

 股間は離されたが、翡翠の苦悶の表情が近付く。今度は耳元に刺さった小刀がめりめり。
 体重を掛けた翡翠に「いやぁぁ!」と三好は叫ぶしかない。

 喰われる。

 だがはぁはぁ言うこの美麗な男に変な気を起こすのも事実で。

「あの、おい?」
「…本当に、それだけですか」

 近い息に「そうです」と答える。

「なんか、それから姿を見たやつがいなくて」
「へぇ、」

 また起き上がり、はぁーと息を吐いてしごきを再開した青年に「いや、江戸、あたりに、」ピタッと動きが止まった。

「…江戸?」
「…と言う話もあり」
「ふぅん、」

 にやっと翡翠が笑った。

 それから青年が膝立ちになり三好のわなわなした股間を誘おうとしているのが見えるのだから、俺はついに嗜みを…!と、もどかしくなって突き上げてやろうかとするのだが「…でぇ?」と、青年がそこで動作を止めて熱く言い捨てたのだからやり場がない。

「は、はぁ!?」
「一分にはまだ時間がありますぜ旦那ぁ、」
「えもうここまで来たら」
「昨日は一体どういった」

 がらがらがら。
 襖が再び開いたのだった。

「…っ!」

 開けた主は驚いている。

「…え゛っ」

 朱鷺貴だった。

 跨がる翡翠も人物を見て驚愕の表情で。
 はだけた翡翠の着物で上手いこと結合部が見えない。

 けどそれ、わかるわ。

「もぉぉお!」

 侍が叫んで翡翠の腰を掴んで落とせば「…っ、」翡翠が非常に痛そうな表情を浮かべる。
 ひらっと捲れて朱鷺貴には完璧に見えてしまった。

「なにやってんのおまえら」

 破棄のない経のように平坦な声が並べられる。

 思い出した瞬間、翡翠は羞恥に「っくぅぅ〜…、」と、項垂れ三好に凭れるように倒れた。

 ニ度目っ!

 ふと朱鷺貴の目には、翡翠が突き立てた武士の横の小刀が目についた。
 案外冷静に物を見ることが、出来たようで。

 もう怖いからとっとと済ませよう。
 と、急に激しくなった三好に「あ゛っ、い゛っ、」と、翡翠は絞め殺される鶏のような色気もクソもない雄叫びを洩らす。

 それには「痛いのか」と若干の同情も、朱鷺貴には沸くのだが、取り敢えず見世に入り込むことしか出来ない朱鷺貴の状況をを他所に「はぁ、」。
 侍は果てたらしかった。

「………っ、」

 なんも言えねぇマジで。
 けど。

「っふ、」

 朱鷺貴が急に笑い出したので「っ…何っ、」と翡翠は三好から退く。

 朱鷺貴が側まで来てしゃがみ翡翠の着物を直し始めるも、「…っ、殺してねぇなっ!」と耐えきれない笑いと共に言葉が洩れ出てしまった。

「…え、」

 しかし、束の間。
 急に少し真顔になった朱鷺貴が翡翠に言う、「昨日の侍はどうした」と。

「…いや、」
「殺してないのか」
「はい、まぁ」
「じゃぁどうしたこの茶番」

 二人を見つめる気まずそうで顔面蒼白な侍と。
 「…あ、と…」本気でなんも言えなくなった翡翠だが。

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