6
「まぁ、いいんですけど」
捲った、右の裾をちらっと。
服装が少しだぼっとしていていまいちだったが、それを見て納得。細身だ。筋やら硬そう。これは女にはない。典型的な、裸体デッサンで見るくらいの体型かも。
確かに腰骨辺り、へその横に、縫い跡は消えているが太さや形から、なんとなく刃物で刺されたのだと初見だがわかる痕があった。
「痛そうだな」
大分ガッツリいってるんじゃないかな?なんとなくナイフなんだろうと予想がつくくらい形がはっきりしてるぞ。
「あんまり思ってないですねそれ」
「いや、予想がつかないけど多分痛いだろ」
「確かに、入院してすぐは痛みに悶えましたね」
「うわぁ…」
「ま、それは良いとして。
もう区役所行けないんで、今日は泊めて」
「それなんだが…」
「住み込めって?」
「何故わかる」
「セオリーでしょ。大体ホントはアシスタント?で来てるんだし。まぁいいんですよ」
「マジか」
「金は相当に頂きますが、僕あまり使えませんよ」
「なんとなく想像付く」
「あとはまぁ絵を見せてください。それがあればいいです」
「え?」
「はい。
多分、昔ファンだったんだと思います。数少ない僕の持ち物の中で入院中、貴方の画集だけは…許されました」
サナトは少し、何故か俯いた。
しかし哀愁は一瞬、それから少しゆったりと仄かに笑った。
「あれがなかったら、気が狂ってまた、死んじゃってたかもしれないから」
「はぁ…」
なんだろ。
俺は褒められたのかな?いま。
「僕ね、貴方の、教会の絵が好きで。気が狂いそうになったら見ることにしてたんです」
「んー?」
「そういう病らしいので、僕」
そういう病…。
「…取り敢えず、夕飯作れる?無理なら飲み行こ」
「いいですよ。飲みに行きましょう」
やっぱりか。
家事すら出来ないアシスタント、やべぇな。
この待遇、普通なら愛人にしか許されないだろ、しかもダメな愛人。
- 7 -
*前次#
ページ: