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それから3日ほど、帝都大、医療大ともに足を運んだ。
しばらく大学は休学だそうで、あのガソリンの犯人、准教授の|兼田《かねだ》|雅司《まさし》(45)が犯行を認め、自供もし始めていた。
しかしやはり、どの情報も俺たちには不自然なまでに不要な情報で、大学に3日通ったが、あれから収穫出来た情報は、ゼウスと大学の繋がりのみで。
グルとしている若林も依然行方を眩ましている。あとは状況的には里中が死亡したため、まだ、闇のなかに足を突っ込んだままである。
これ以上の捜査をしようとしたが、官房長官やら、まぁよくわからない警察の上の組織から『3日』の期限が与えられ、それ以降、特本部は大学に関しての捜査立ち退きを言い渡されてしまった。
3日経ち、4日目からは強制的な休日が与えられ、勝手に捜査したことへのペナルティとして、そこから1週間、謹慎として休暇を授けられた。
まぁ要するに「自宅謹慎」というやつであった。
これに対しては高田が淡白で、何も対応なく受け入れ、というか我関せずで、また、ここに来てマトリすら見放すように、我々とは無関係を無茶に貫いた。
結局そういうことだった。
警察組織としては、その俺たちの休業の間、全てを片付ける、これが義務付けられたようで。
正直、俺は最早何を信じるべきか、思い更ける以外に何も出来なかったのだ。
だがしかし、どうせ休日だ。
どうせならと、そろそろ退院する環の元へ行こうと決め、休暇初日に病院へ行くことにした。
「あんた殺されそうなんで、俺もお供します」
その伊緒の申し出は、俺は一度断った。しかし、
「いや、大丈夫だ。お前こそ、まぁここはバレてないが、殺されないよう…」
「尚更じゃないですか?二人でいた方が」
「いや、却って怪しいだろ。謹慎二人が行動を共にするなんて」
「でも…」
「大丈夫だ。帰りに飯を作ってくれ」
「…ホント、」
凄く不安そうな伊緒に見送られて家を出た。
しかし本当は気分なんて、正直乗らない。
嬉しいけれど、いまはそれより。
いや、ダメだなこりゃ。
気を引き締めようと車のエンジンをかける。ナビの時刻を見れば、面会時間開始の10時30分前。
あと30分。そう気持ちを切り替えようと車を発信させた。
気持ちが上がる音楽とか、そんなのをなんとなくかけて挑む。
たまに意識を掠めてしまう、樹実が好きだった音楽もあって。
樹実。
俺なんだかいま、複雑だわ。
いつか言った、樹実の言葉を思い出してしまう。
『世界の果ては一体どこかなぁ』
と、無意識に、景色が車の窓ガラスに流れるような感覚で。
「地球は丸い、どこかに繋がっている。
俺はね、この星は酷く歪んでいるような、そんな錯覚をすることがあるんだよ、流星」
なんだって。
あの、切なそうな胡散臭い笑顔が浮かぶ。
「平らじゃないから?」
「そう。
けどふとさ、地球儀とか、衛生写真とか見ると」
そしてさっぱりした笑顔で言ったんだ。
「なーんてちっぽけなんだろって。こんな広い、黒い宇宙で、俺ってなんなんだ、けど、なんて綺麗な星にいんだよって、馬鹿馬鹿しくなるんだ」
それがいま。
「これってわかる?流星」
あのときの、嬉しそうな笑顔。
皮肉に思い返すこともある。
俺はその時なんて答えたっけな。
多分、酷く否定的に答えたような気がする。
「お前にも、いつかさ」
思い出せないなぁ、樹実。
なんとなく、選曲は失敗した。しかしこれはこれで、ならば最早センチメンタルを行くしかないなと、あとは垂れ流して、ただただ曲を垂れ流して、病院に早くつきたいと願った。
渋滞はもう去って、少しだけ残った忙しない道路とか、俺ってこんなに感傷的だったっけとかぼんやりと思って。
全部樹実のせいなんだから。
だからもっと、どうにか黒くいればいいのに。
タバコの減りは早かった。
病院について一息のタバコで、車内が白く濁っているようで、
大変だと、換気がてらに窓を開け、ある程度マシになってから外に出る。
秋、冬前の微妙な寒さ。
|銀杏《いちょう》が散っていて、|銀杏《ぎんなん》臭くて、タバコを吸いすぎた俺には少し、気持ち悪い。
いつまで経ってもこれには慣れない。日本の晩秋はこうだ。しかし久しぶりだった。
寒いなぁ、晩秋。
今年は雨が多い。だが今日は晴れた。くしゃみすら出た。
ゆったり、しかし排他的だと感じるこの施設。やっぱりドアの前で、殺すような一息を吐いて自動扉をくぐる。
入院病棟まで少し長く歩いて、心療内科が見えてきた。
えらく綺麗に滅菌されたような廊下。しかし受付あたりで「あっ!」と、|小湊《こみなと》さんが声をかけてくれた。
「どうも壽美田さん」
「こんにちわ」
「いまねぇ、青葉さん、喉頭科にいらっしゃるわよ」
「あぁ、そうなんですか」
「あれからリハビリ頑張ってます。
案内しますね。ちょっとお待ちくださいね」
小湊さんは笑顔でそう言って一度受付に行き、電話をしていた。
了承が取れたのか、「行きましょうか」と、笑顔で促され、俺は小湊さんに着いていくことにした。
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