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久しぶりだった。
多分、すごく幸せだったんだ。
欲望とかじゃない。何もかもありのままで。
多分、幸せだったんだ。

 雪子さんの肌が綺麗で、感触が本当に滑らかで。
 どんな姿も素敵だった。綺麗だった。恍惚な表情も柔らかな肌も、俺の手に触れられる位置にあって。細すぎない首筋や腰回りも、妖艶で、手放したくないけど。

 果てしない欲望とそれに勝る感情、色褪せない声と湿った空気。
 絡まる肌と肌の温もりも心地よかった。すべてが鮮明で、色褪せて欲しくなくて。

 雪子さんはどうだったんだろう、幸せなのかな。幸せだったとして。

「光也さん、」

 絡ませた指に力が抜けた時。

「私なんかでいいの?」

 そう聞かれたときに、その表情が怖いほど寂しそうで。

 俺は貴女が好きなんだ、そう言いたかったけど。

 なんとなく、笑顔の奥底に見えた面影に俺は。

 そうかやっぱり、俺には届かないし敵わない。そもそもそんな段階でもなんでもなかったなと思い知った。

「雪子さん」
「何?」

 見つめてくる潤んだ瞳が、少し掠れてしまったけど落ち着いたその声が、するするとした指通りの髪が、滑らかな肌が。

「雪子さん、幸せ?」
「…幸せよ?」
「俺も、すごく幸せなんだ」

 すごく好きなんだ。だけど。

「急にどうしたの?」
「俺は、雪子さんの永遠の一部になれたのかなって」
「…光也くん?」
「俺ね、やっぱり凄く好きなんだ。雪子さんのことすごく好きなんだ。だからさ、」

 腕の中にちゃんといるのに。笑顔の裏、寂しそうに笑っていることに気が付いたから。

「…光也くんの想いに、私もしかしたら、答えられてないのかな。
 こんなに幸せでも、こんなに愛しくても」

 それには答えなかった。

 髪の毛の指通りが、本当に好きだ。

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