7
小夜が寝静まった頃、起こさないように、そっとベッドを抜け出してベランダに出た。月が綺麗だ。
タバコの煙が昇っていく。ぼんやりと、明日と、明日からのことに思いを廻らせた。
明日は確か夜勤じゃないはずだ。ただこれから、夜勤の日とかはどうしようか。
冷静になって考えると、勢いと流れでこうなったが果たしてこれでいいのだろうか。
生活は?金は?例えば捜索願いとか出されていたらどうなんだ?
そう思ったら落ち着かなくなって、すぐにタバコを消して部屋に戻りテレビをつけた。
とくにそれらしきニュースはやっていない。事件性がないからだろうか。
試しにケータイで調べてみたが、なんだかよくわからない。
これは誰かに聞いてみようか。けどなんとなく答えはわかっている。「警察に行け」と言われるだろう。ただ、そういう問題じゃないんだ。
暗い部屋の中、テレビのチカチカとした光と、微かに聞こえる音を背景に俺は深みにはまる。
小夜は言葉の意味がわからない訳じゃないし話せないわけでもない。病気かなんかなんだろうか。たまたま今日は具合悪くて学校休んでたら母親と喧嘩して…。
いやいや、安易すぎるだろうな。
でも病気っていう可能性はある。あんだけ雨に打たれてたんだ、扁桃腺《へんといせん》腫れてるとか。本人も喋れないことに驚いていたように見えたし、普段は喋れるのかな。
病院行こうにもなぁ…。
あぁあ、考えたら堂々巡りだ。
そんなこんなで時計を見たらもう23時。ヤバい、明日6時出勤だ。
明日朝飯を作っておいてやるとしたら、4時半くらいには起きていようか。
目覚ましを4時半にセットして寝ることにした。だがやっぱり、寝るまでに時間がかかった。
- 7 -
*前次#
ページ: