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 そこから、毎年恒例のクリスマス会議が始まった。とはいっても昔ほどなにも決まっていない状態というわけでもないので、そんなに会議をすることもなく。

「プラネタリウムやらね?」

 なのに今年はちょっと変化球をぶちかましたいらしい。突然そんなことを言い出すおっさんに、「え?」とか「どゆこと?」とか言う反応。

「お前ら知らないのか?今年はふたご座流星群もあるんだぜ」

 とか凄く自慢げに言ってくるので思わず溜め息。

「え!流星群!?」

 しかし小夜がその単語に食いついた。

 時期が微妙にずれてんだよおっさん。それ、知ってるかな。
 あ、でも待て、これ言うと相当面倒臭くなりそうかな。

「え?溜め息吐かれた?」
「いや、どうクリスマスと結び付いたかなって」
「ん?」

 最早おっさん、それすらわかってないな。大体ふたご座流星群なんてどうやって知ったんだ?そーゆーのってニュースとかでも当日か前日くらいにちらっとしかやらないし。

「12月25日にふたご座流星群だろ?」
「…どこから情報を得たの?」
「ん?ネットかなんか。え?違う?」

 俺は仕方なくケータイで国立天文台ホームページを開き、ふたご座流星群の特設ページを開いて渡した。

「確かに今年は月齢2とかで月明かりもなくて、しかも早めに月が沈むから晴れれば観測条件がかなりよかったけどおっさん、日にち。
 日にちまで詳しく見てないけどふたご座流星群って大体は10日から一週間前後だよね毎年。おっさんが25日って言ってんのさ、多分|極大《きょくだい》が15日、つまりおっさん老眼で25日って見間違えたんじゃない?」

 三人ともケータイを覗きながら「すげぇ」とか「言ってること当たってる…」とか「学者かよ」とか言っていた。

「確かに15日だ…」
「つまりクリスマス企画とは関係なくない?」
「てか光也、いくらなんでもマニアックだろお前…」
「うん、さすがに唖然としたわ」
「まぁ流星群なんて極大日から前後一週間くらいは見れると言えば見れるから無理を言えばクリスマス企画と被らんでもないがな」
「そうなの?」
「そうだよ」
「そもそも極大日って何?」
「なんか良く見える日」

 三人に声を揃えて「雑っ!」とつっこまれた。んなこと言われたってこれが一番シンプルな説明だろうが。

「よし、おっさんは思い付きました」

 うわ、やっぱり。

「…面倒なのは嫌だ」
「ズバリ!流星群企画とクリスマス企画をやりましょう今年は!」

 うわぁぁ、やっぱりそうきたか。

「やだ」
「柏原さん、俺もやだ」
「え?じゃぁ小夜ちゃんは?」
「私はどっちも興味ある…」
「はい、決定ね」
「なんだよそれ!」
「あんた狡くねぇか!」

 最近おっさんはこーゆーとき、小夜を使うと言う技を覚えたらしい。ホントに性格が腹黒い。

「名付けて!『お星さまキラキラクリスマス企画!』」
「クソだっせぇ」
「驚くくらいセンスなっ」
「え?小夜ちゃんはどう思う?」
「ダサいかも…」

 バッサリ言われてへなへなと撃沈。新たな写メが増えた。

「てめぇだから人がへこんでんの撮ってんじゃねぇよ!」
「戒めだ。全員のケータイに送ってやる」
「やめろ!」

 こりゃぁ、一から流星群企画は計画を立てなきゃならんな…。

「一から企画立てんのか流星群」

 真里も溜め息を吐きながら言った。

「俺とお前とおっさんには企画力と美的センスが皆無だったよな」
「難航したよねー、クリスマス第一段」
「今回は言い出しっぺ。あんたどんな風にしようと思ってたの?」
「え?店内暗くしてプラネタリウム照らす」
「店内暗くしたらさ、料理出来なくない?」
「そこはほら、昔のじいさんばあさんみたいにちっさい豆電きゅ」
「却下。それ危ない。とくにあんたね」
「しかも俺もさ、酒瓶なんてみんなそっくりだからそんなの絶対に違うの混ぜる自信あるよ」

 まぁ場所覚えてるからそんな酷くはならないけどね。

「…その辺くらいはライト使っても」
「レモン切れない」
「お前面倒臭がってるだろ」

 バレた。

「いや、柏原さん…みっちゃんならあり得る。だって意外と天然だもん」

 そんなことないだろうと思ったらなんか真里も、「あぁ…確かに」とか小夜にどういしている。

「だってみっちゃんこの前帰り際に、なんか「あっ」とか思い出したように言うから、どうしたの?って聞いたんですよ。
そしたら、
 「|神田《かんだ》さんに出したカクテル、ライムとグレープフルーツ間違えたな」ってすごく淡々と言ったんですよ!」
「あっ、それチクんなよ!」
「普通間違えないでしょ!なんで間違ったの!?って聞いたら、なんでだろう…って!」
「光也…それ神田さんでよかったな」
「あの人優しいから。次の日来たときに凄くにこにこして、「意外と美味しかったよ」って言われたわ」
「罪悪感沸けよそこは!」
「みっちゃん他にもちょいちょいあるよね…」
「もういいもうチクらないで」

 そんなの数えきれないくらいやって来たわ。ソルティドッグがシュガードックになってたこととか。

「確かに…居酒屋の時そんな話ホールのやつから俺もちょいちょい聞いたわ。この人変なミスするんだよね疲れてると」
「うるさいなぁ…人は失敗するよ」

 このまま雑談でなんだかこの企画は終わってしまうような気がしてきた。

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