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2週間で星はたくさん増え、一つのライトじゃ間に合わなくなり、流星群の頃にはライトを2、3個増やして展示した。
流星群の当日、またあのお客さんが来てくれた。今回も一人だったけど、またプラネタリウムに一つ星座を加えてくれた。
別のライトに、南のうお座。
これで漸く、奥さんが言っているカノープスと、一緒に映せる。
「妻はね、実はもう、この世にいないんです」
「…そうですか」
「去年の今頃、肺炎でね…」
「また来てください、ぜひ」
そう言って小夜は、帰り際、星座早見版を手渡した。この企画の途中から、お客さんに配ることにしていた。
「いつでも、奥さんに会いに来れるじゃないですか。フォーマルハウトもカノープスも普段は見れないけど、ここなら見れるから」
そう言って小夜が微笑むと、そのお客さんは早見版を受け取り、そのあと静かに小夜と強く手を握って帰って行った。
「やっぱこの企画、案外いいもんだな」
店閉めの作業中、おっさんは、穴の空いた黒い紙を見て染々と言った。
ふと、たまたま目についた、レジあたりにポツンと置かれた使用済みのコースターが目についた。
見てみると裏面に、『またひとりで来ます。ありがとう 田中』と書いてあった。
これはあのお客さんのだろうか。こっそりレジにセロハンテープで張り付けた。
「お前らさー、今日流星群だよ」
「今日この後見に行こうかなって!」
「お、いいじゃんいいじゃん!
光也ー、真里ー、どんなもんなの?」
おっさんが、一声叫ぶ。「あと洗浄ちょこっと!」と真里の声がした。
ちょうど俺はレジ閉めが終わったところで、店内清掃でもしようかなと思ってたところだ。
「今日は874,311円かな。はい売上表。あとは店内清掃かな」
「まずまずだな。よく4人で回してるね」
「まぁ単価高いからね」
「んー、小夜ちゃんも見たところ終わりそうだね。よし、あとは俺がやっとくよ」
「え、マジか」
「うん。そんくらいなら全然余裕だし。大体小夜ちゃんも毎回手伝ってくれてるし、たまにはおっさんが仕事を引き受けますよ」
「え!柏原さん眠いんじゃ…」
「眠いよ!おじさんだからね!けどあと少しだから大丈夫!
3時くらいからだっけ?」
「そうです!」
「俺も昼寝してから見よっかな。たまにはね」
俺たちはおっさんの言葉に甘えて帰りの支度をして店を出た。なんだか機嫌が良かったみたいでわざわざ見送りまでしてくれた。
結局どこにいくんだろう。
「|奥多摩《おくたま》あたりに行こうかなと思ってんだけど」
「時間的にはまぁ着きそうだね。てか早いくらいかな」
真里の家にあった黒いワゴン車の後部座席に小夜を乗せる。トランクから毛布を出して渡した。
「着いたら起こすから寝てろー」
そう言うと小夜は、寝転んですぐに寝息を立てた。
「光也さんも寝てていいよ」
「ん?いや…俺多分薬ないとこーゆーのなんかね…寝れないと思う」
「あそっか」
まぁ暫くは薬も飲まずにやって来てるけど。とゆうか真里さん、お前がうるさいので飲めないんですわ。最後に処方されたのだって果たしていつかな。多分ここを離れていた時期じゃないかな。
「でもどうかな。寝れるかな」
窓を少し開けてタバコを吸う。空気とヤニを一緒に吸う、この身体に痛い感覚がちょっと好きなんだ。
「寒いな」
「そりゃぁね。あ、どっかで止まる?毛布あるよ」
「うーん」
うん、タバコ吸ったらなんか眠くなってきた。疲れてるのかな。
うとうとしているときに真里が隣で、「おやすみ」と言ったのが聞こえた。なんとなくそれが妙に落ち着いて。
ふと、額に当たる暖かさに目が覚めた。真里が俺の額に手を伸ばしていて、じんわりかいた俺の汗を拭っていた。
「嫌な夢でもみたの?」
「いや、覚えてない…」
気が付けば毛布が掛けられていた。いつの間にここまでしてくれたんだ。
後ろを見ると小夜も、なんだか気持ち良さそうに毛布にくるまって寝ていた。
「帰りは流石に運転替わるよ」
「光也さんの運転怖いけど、まぁ確かに疲れたなー」
「ご苦労様。あとどのくらい?」
「もうちょっとだよ」
時計を見ると1時半くらい。店を出てから1時間ちょっと。
「2時半くらいにアラームかけといた。着いたら俺も少し寝るよ」
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