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 どうしても誰かに何かを伝えることは、本当に、難しいことなんだと痛感して。
 だからといって自分が人である以上、
いや。
 何かをこうして、伝えたいと思う以上、しなくちゃならない。

 様々な人を思い描いてみる。

 自分には大切な仲間や、
 家族のような存在がいて。
 あぁ。でも家族って一体なんだった。

 ケロイドのような、痛々しい存在かもしれないが。
 まだ足りない、まだ何かが自分には多分足りない。

 伝えきれないのは、しかし、多分相手も一緒なんだ。

 どうしてだろう。
 何故、いざという時あと一歩、自分の気持ちがわからない、相手の気持ちがわからないのだろうか。

 書き連ねて。ずっとずっと、弾き続けた。

「引き籠り再開しちゃったね、真樹」

 と、文杜は寂しそうに言う。

「そうだな」

 とナトリも言っている。

 あれから引き籠り、曲をしばらく作り続けた。これしかないと、信じ続けて。

 たまに家には西東さんが来る。

「そろそろ文化祭だねぇ」

 とか言いながら。

 どうだってよくて。
 ただただ、ずっと。

 誰に届けたい?
 誰に。

 引き籠りを一月くらいやってみて初めてナトリと文杜に曲を見せたら。

「うん」

 二人とも納得してくれた。わずか、5曲くらいだったけど。

 西東には、

「4曲で勝負掛けるから。ただ、最後に見て。それまでに自分達で仕上げる。スタジオはだから、あんまり来ないで」

 そう伝えれば、

「わかった。
 でも僕のスタジオだから。じゃぁ、僕が来た時には僕がいる時用ミッシェル用意しといてね」

 それだけ言われ、スタジオの鍵までそれぞれもらって。

 あとはただただ。

 秋の終わり、文化祭までひたすらにバンドを練習し。
 真樹はひたすら、一年の、定時制より少し早い勉強を少しずつ習得し。

 気が付けば心療内科の頻度は減り。
 発作もたまにあるが、なんとか、その都度どうにか乗り越え、堪えて。

 恐らくは短い人生、振り返るなかで3人共に、この時期が一番苦労したのかもしれない。

 いままでの自堕落をここで浴び、いままでの想いやそれに対する痙攣が、水道管が破裂したような、そう。

 青春、だったのかもしれない。

 けして甘いものではなく。楽しい、哀しい、本当に言い切れないような重みがある。
 しかしそれは、本当に一瞬のように、過ぎて行ってしまう、稲妻のような現象だった。

 それに気付くのは、まだ、まだずっと、先なのだけれど。

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