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 朝起きると、悠はいなくなっていた。お金どうしようかと思ったが、フロントで聞いてみると、もう支払ったと言う。

「ちなみに何時頃帰りましたか?」

 聞いてみると、朝の6時には出て行ったと言う。今日はおやすみなのに、何でそんなに早く帰っちゃったんだろう。
 
 私は、起きたら言いたかった“おはよう”をメールで送った。すると、“ホストの都合により、メールを送信できませんでした。”とメールが返ってきた。
 
 何で、着信拒否でもしているの?メアド勝手に代えたの?
 
 悪いことばかり考えてしまう。
 
 それとも、ただ単に電波障害?
 いたたまれなくなって電話してみる。
“お客様がお掛けになった電話は”切った。
 
 何で、どうして、なんでなんでなんで!胸がワサワサと波立つ。嫌な予感ばかりが胸を占める。
 
 そう言えば悠は何かおかしかった。
 
 パニックになっていると、ふと、台の上にペンギンのペーパークラフトを発見した。
 
 出会ってすぐもらった青い熱帯魚のペーパークラフト。それを思い出したら涙が溢れて止まらなくなった。
 
 これで終わり?昨夜まではあんなに熱くて、あんなに愛し合っていたのに。
 
“俺には双子の姉がいたんだ”
 
 なのにどうしてだろう。私は、悠のこと、ほとんど知らない。
 
“なつみ”
 
 一体誰よ!
 
 もやもやした気持ちに浸るまもなく、フロントから退室時間を知らせる電話が鳴った。仕方なく外にでて、進まない足で歩いた。
 
 家に帰るとお母さんに怒られた。そして、確信を突かれるような一言を言われる。

「あんた、先生と付き合ってるんか!?」
「えっ?」
「校長先生から電話があったのよ、お宅の娘さんが担任とつき合ってるんじゃないかって!」

 学校にバレている。
 どうしよう。誰、誰が言ったの?

「つき合ってないよ。確かに年上とはつき合ってたけど」

きっと美奈子だ。
悠を守るためにも、シラを切らなくちゃ。

「ホントなんか!?」
「ホントだよ」

どうして邪魔すんのよ。
なにが気に入らないのよ。

「ごめんなさい、疲れたから部屋に戻ります」

 お母さんがギャーギャー言っているのを背に、部屋に戻った。
 
 よく考えたら、学校で会える。そしたら対策を練ろう。
 
 何も気にしないようにして、私は眠りについた。

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