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地べたに正座する亀ちゃん、そして師匠。ルーシーさんはヤンキー座りで二人を眺め、のんちゃんには「ありがとう」と言った。
「で、何」
「すんません、儂が無茶を言って弟子を、ここに連れて来て…。亀田さんに弟子のことでお願いあって来たんです。
儂が情けなくも、なかなか言えんでいたら弟子が察し、先に亀田さんに言うた言伝てが、口滑らせた間違いで。それは亀田さんを傷付ける内容だったんで、こうして」
「何て言ったんだい三味線兄ちゃん」
「けっ、」
泣けてきてしまった。
だけど、言わなきゃ。
「結婚してくださいって、間違っちゃって、
けど、ホントは…っ、俺が我が儘なせいで、もっと、酷いことをお願いするかも、知れなくてっ。
亀ちゃん、」
亀ちゃんはぴくっとした。
「紅葉、」と制しようとする師匠を降りきり、
「婚約者のフリして我が家に、依田家に来てくださいっ!」
言ったら。
皆シーンとした。
亀ちゃんが驚いた顔して振り向き「何っ!?」と洩らした。
「いや、あの…。
お、俺の義母が…、その、うるさいんだと、師匠から聞いて。
俺を引き取った師匠に、俺の嫁を連れて来い、と、ちょ、長男だからって、言ってるみたいで」
「…は?」
「けど…。
嫌なんだ亀ちゃん、俺は。お、俺もあそこでは捨てられたけど、だから、その…」
「なんであたしが」
「すまんツキコちゃん。
儂はてっきり、二人が良い仲なんだと思って、こいつの義母をあしらうつもりで、ツキコちゃんの存在を話してしまったんが悪くて。
…聞いた、ツキコちゃんのことは。ウチの弟子のことも、聞いて。
せやから、でもな、儂は正直、二人は分かり会えると、待遇も一緒なら、これをきっかけに芯から、分かり会えるんやないかって、安易で勝手ながらそう思って弟子を引っ張ってきたんや」
えっ。
「し、師匠ぅ!?」
そーだったの、後半なんか聞いた感じと違かったんだけど。
「…けど軽率やったな。すまん」
亀ちゃんに頭を下げる師匠に亀ちゃんも「えっ、」と困惑。
俺を見つめては、亀ちゃんは何かを言おうとしてるんだけど、言えなそうな顔をしていて。
「でもいい、亀ちゃんごめんっ。
俺だから、師匠が、俺のこととかバレたら、春暁の母っ…俺の義母に何を言われるかとか、考えたんだけど。
でも師匠いいです。そうじゃなく、俺が母に言います。ゲイだって俺から言いふらせば、母がなんと言ったって回りは」
「待ってジャグジー。
ゲイなの?」
あっ。のんちゃん。
忘れてた。
あっ。
「あっ、いや、違くてそのあの」
「ははぁ〜ん。なるほど理解したよー」
「えっ、」
待って待って。
何を理解しちゃったの、のんちゃん。
亀ちゃんは「いや、のんちゃん」と言っていたが。
「だぁから卯月と仲いーんだ!なるほど!理解理解」
「へっ、」
「いや俺ぶっちゃけさぁ、
なーんでこんなモテそーな面した、しかも三味線とかいう超ファンキーな男がね、レズビアンの卯月に付きまとってんだろ、変態なのかなぁとか実は思ってて」
「えっ、」
「何っ、」
色々さくっと傷付いた気もしなくないぞのんちゃん。
「でーもさぁ、男じゃん?
ママさんもゴッドさんもわかるっしょ?どう頑張っても欲望ってあるから多分パツイチ決めてんだろ、じゃなきゃこーんなエロい女が同じ環境にいるってさぁ、ED以外にありえないじゃん?」
「待ってのんちゃん流石に傷付く色んな人がっ!」
「けどなんか不っ思議〜、多分なんかMっぽい変態なんだなぁって仲良くなれば思うわけで」
「んん!?」
「解決した俺の中で。なるほど〜、性的対象じゃなかったんね、君ら」
「えっ、はっ、」
まとめてくれたけど。
「ちょっ、ハズいわのんちゃんん!」
師匠、ルーシーさん共にのんちゃんに唖然としている。
しかしのんちゃん、「あはは〜、ジャグジーかぁいいなぁおい〜」と軽い。
「…でもさぁ、俺ゴッドさんが言いたいことわかるわ、うん。流石ゴッドさんだね。
卯月もジャグジーも、つまり普通なら、性別ってそんなもん、そーゆーことなんだね。
いいじゃん、紙切れ一枚、こすいことしてないで書いちまえば?結局書いても書かなくても変わんないんでしょ?何に拘ってんのか俺いまいちわかんねーわ」
えっ。
「だって、」
「格式?なんなの?結局人間って変わんなくね?
なんでジャグジーは捨てた家の格式とか拘んの?なんで卯月は家とか性別とか拘んの?結局はジャグジーと卯月なんだよ?何?」
そー言われちゃうと…。
「俺はまぁね、実家とかになんもねぇし性別も困ってねぇからあれだけど、二人は見てるよ?なんかそれで文句あるかな?あるならいいよ、二人ならいくらでも聞いてやるよ。
んなぽっと出のババアがうるせぇならぶっ飛ばしちゃえ。卯月、お前ジャグジーに酒ぶっかけたじゃん。ジャグジーだって家捨てたんでしょ?やっちまえよんなん」
「いや、色々どうなの?」
「ゴッドさん、この芸能はそんなんで廃れるくらい弱いの?」
皆黙る。
何も知らない、けれど事情は知ったのんちゃんの一言は、少なくても俺には痛烈で刺激的だった。
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