サムライ×椿×手袋


 己が士道とは何か、空風の心地に術からく問うが此の剣心に答え一つかと、切っ先は空と身を切り裂くのみの技でしかないと邪心に濁る。

 大和に朽ちるが河原の精神に僕の心の臓は燃え上がるような枯渇と猜疑と暫し空のような切迫に先生、椿首を抱えた門下は皆その漣に打ち返されたのは言うまでもない。

「至誠にして動かざる者は未だこれにあらざるなり」

 剣道は己が道を行かずとして拓かぬのならば実におもしろくもない物だった、僕だけはせめてそう振り返ることは、したくない。

 先生、貴方はその首を伸ばし何を見てみたかったのか、その教授のみは誰にも教えることもなくただ、ただ武蔵に朽ちただけなのだとは、しかし思い至らない。

 最期の教え、そうですね。僕はそれを縁起の悪いことだとは思わず、ですが和欄の手袋と竹刀を置こうと思います。こんなものは海の彼方では遥かに役立たずな棒でしかない、燃やしてしまえばいい。

 あの首だけは忘れない。

 それが僕の留め置く大和魂だと、漸く貴方が渡れなかった海、貴方を切り捨てた此の国へ反旗を立てようと我々が故郷、萩を離れ門下として渡航をし見聞を広げたく決心。人は死ぬまでにおもしろくあるのが学問の成行。
 激動へ足を向けよう、潮風を纏う僕の出発。




とある革命家の話。
(作者:締め失敗)

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