くしゃみ
「へっくち、」
結局。
「…いい加減こたつから出たら?俺も熱くなっちゃってごめんだけどはい、ほうじ茶いれたよー」
こたつにくるまっていまいち見えないけど卓上でとくとくとお茶がつがれてキラキラしている。光一は自分のお茶もついで口をつけた。
「うぅぅ〜」と起き上がると同時に「熱っ」とマグカップを置いた光一にまだ不服だった。マグカップであることがじゃない、結局「バカ」だの「根性なし!」だの、さらには過去まで掘り返し合い別れるのかすらいまいち決着がつかなかったのだ。
「で!」
「ん?」
「結局なんな」
あ、むずむず。
出る、出る、出る。「いやだからさ、」ちょっと待っていま話しかけないで出なくなっちゃうじゃない「ん?」そう気付いてくれてありが「でるの?」うるさいなぁ、出そうだから待って、待って。
「うっ、」
で、
「ど、…どっか行っちゃったじゃん!」
「あちゃ〜不完全燃焼〜」
「は、」
来た。
「お、今度こそは?」だからうるさいって、もう…もう…、
「へくっち、へくちっ!」
「え?え?」
はーすっきりした。のに。
光一は溜め息をつく。
「なんだよその女子くしゃみ〜、俺が身構えた意味」
「へっっっくしーーん!」
「うあ、おいぃ…」
「追っかけくしゃみとかなんなん」と小言を言われるがもういいや。なんか言いたいことも出ていった気がする。微粒子単位の唾液とか病原菌と共に。
暑そうなほうじ茶を、私は賢いからふーふーしながら飲んで横目で光一を見れば「けど…」と、みるみる笑顔になってゆき。
「ふははは!なんかもーいーや楽しい!」
人のくしゃみに爆笑しやがった。
「いやよくないよくない」
「なんで?」
「だって納得いってない」
「なんで?結婚しよ」
「は?」
…は?
「え、は?って返ってきたの何故」
「いや、あのさぁ…」
バカなんじゃないの?
まずムード、まず問題、まず私の一昨日からのセンチメンタル!
「おま、あのねぇ!私がどんだけ泣いたと思ってんのマジで!」
「あ、泣いたん?」
「ったりめぇよう!」
「よ、江戸っ子」
「じゃねぇよこのバカちんが!」
「え、でもさ、泣いたってことはさ、俺のことじゃん?それ加代子俺のこと大好きじゃん?」
「調子乗るなよお前ね、」
「なにか問題あるかな?」
無邪気にそう言った光一は子供のようだった。
確かに、自分の内部以外の障害はないのか、吹き飛んじまったのか。ボケた頭で考える。
「は、はぁ?」
「俺も言ったあと泣いたもん」
「え、じゃぁなんで言ったの」
「いやー運命抗えないなーみたいなセンチメンタル?」
「は?」
女子かよお前!
「でもまーいっかって思っちゃった。今日来て正解。じゃなきゃ高飛びしてたわ」
「…でも勝手に決めちゃうぐらいの女だったんでしょ」
「んー、ちょっと違うけどまぁ結果そうなっちゃってるか。いや俺が悪いんだよ加代子」
「なんで」
「男はロマンチストだから女の子に弱ってるとこ見せたくないの。けどいっか」
「んん?」
「ま、ついてこなくてもいいや。行かないことにしたカナダ」
なにそれ。
ロマンチストだからなの?
光一は何度かマグカップを触って離れてを繰り返して温度を確かめる。
「カナダ行く覚悟あるなら結婚しろよ俺っていま思ったから」
…ほ?
「…えー」
唐突ぅ。確かについていけないわ〜。
けれど光一はほうじ茶に漸くありつきながら「ははー」と笑った。爽やかに。
「保留でいーよ」
「うーん…はい」
「付き合い方改革するって法案を出したと思って」
「全然ロマンチックじゃないけどまぁ…」
うーん。
「いっか。期待しているぞこうちゃん大臣」
また、ははっ、と今カレこうちゃんは爽やかに笑った。
※続。
果たして風邪は治ったのか。ひたすらイチャイチャしている話(反省)。
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