図書室


──時として、形を変えて情景が浮かぶ、踊るような高揚を浮かべることはないだろうか?──

 1ページ目に何故少女は雪空にマッチに火を灯さずに死んだのかと考え、
 2ページ目に二人はボートに乗っては何も出来ないのかと、3ページ目に夜間飛行に連れていかれる。
 次から次に、廃人となったと自覚し十色の夢心地の硬い文体へ滑り込みあの詩集で「北原白秋」の存在と生きる雑草のような擦れた気持ちをなんとなく持つ。
 病床の死後に持つ肉体はなんなんだろうかと好き嫌いを持ちながら遊郭の怪談が身に迫るようで山脈にあったそれは狂気か、なんなのかと考え、教のような42歳の後生に皮肉を覚えては。

 時間は足りない、けれどもゆったりと流れた時間に本を閉じたとき、マッチ売りの少女も処刑の話も夜間飛行も人間失格も夢十夜も月に吠えるも死後も一つ枕に酒と歌のような厳格だったな。

 読書とはそういうものだ。自分の中には本棚がある。季節があり五十音順の無差別。ここは狭い、自分の中の「図書室」だったと扉を開けようか。ここは図書室、濁流のように感情があかさたな…と並んでいく哀愁、陥落、寒さ、怠惰、名残、儚く、末路、揶揄、私事が詰まっている。

──終わりなき読書の旅に出よう、歓楽を得よう。今日も文字は巡っていく、秋の日。

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